ロシアのデマ作戦に米国敗北、大統領選でリスク現実に
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月26日 9時41分
この主張は、クリントン氏の支持者がワシントンのピザレストランを拠点に小児性愛のサークルを開いているという風説につながった。このチャンネルは、9.11同時多発攻撃は内部関係者の犯行と主張するラジオ司会者アレックス・ジョーンズ氏が運営するもので、180万人が登録している。
2015年に短期間スプートニク・ニュースで働き、抗議デモ「ウォール街を占拠せよ」の古参活動家でもあるジョー・フィオンダ氏によれば、スプートニクの記事やソーシャルメディアへの取り組みは、全般的に、シリアなどロシアのプーチン大統領の同盟相手を称賛し、警察の不祥事など米国におけるネガティブなニュースを詳細に報じることを目的としているという。
フィオンダ氏は、スプートニクで優先されていたのはハッキングされたメールを拡散することだったと話す。彼の仕事の1つは、「ミューティナス・メディア(反抗的なメディアの意)」と称するフェイスブック上のページ(スプートニクとの関係は明示されていない)に、広まりやすいうわさのネタを流すことだったという。
ロシアに支援されたハッカーの侵入を受けた団体の1つである民主党全国委員会の元職員らは、米国政府は主要政党をテクノロジー面で守るための予算計上を検討すべきだとし、ハッキングされたメールがネット上に広がり始めたら、党職員の対応は後手後手に回ってしまうと語る。
彼らはさらに、民主党出身のオバマ大統領の政権スタッフは自党候補者を弁護していると思われないよう気を遣いすぎていたと話す。
国家情報長官室のロバート・リット法務顧問によれば、オバマ大統領は情報機関に対し、プロパガンダ作戦に関する議論も含め、ロシアによる選挙介入についての分析を提出するよう求めていたという。
リット氏は、米国政府が油断につけ込まれたと考えているかという問いに対し、次のように答えている。「私自身はこの問題にまったく関わっていない。とても重要な問題であり、情報当局が非常に注意深く関心を注いでおり、適切な時期に報告書を発表するだろう」
(翻訳:エァクレーレン)
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