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ナッツリターンの悪夢再び 大韓航空、機内暴力の男に翻弄される

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月28日 15時25分

<ナッツリターンで世界的に注目を集めた大韓航空だが、今度は客室内で暴れた乗客への対応が不十分だったということで非難を呼んでいる。問題を起こした男は搭乗拒否、今後同様の問題が起きた場合は警告後即座にスタンガンで対応するというが──>

 今月20日ベトナム・ハノイ発、韓国・仁川行の大韓航空KE480便の機内で暴動事件を起こしたイム・ボムジュンについて、仁川地方裁判所は、明日の午後2時半航空保安法上の航空機安全運航阻害暴行と傷害の疑いでイムの拘束令状の審査をする予定だと明らかにした。毎日経済など韓国メディアが伝えるところでは、裁判所は令状審査を経て、明日の午後遅くにはイムを拘束するかどうかを決定するという。

 この事件は20日午後、ベトナム・ハノイ空港から出発した大韓航空KE480便で、搭乗前から酒に酔っていたイム・ボムジュンが、「話しかけたのに無視された」という理由で隣の席に座った乗客につばを吐き、顔を殴るなどし、さらには静止しようとした客室乗務員と整備士らにまで殴りかかり、2時間ほど暴力をふるったというものだ。たまたま、同じ便に乗り合わせたアメリカのシンガーソングライター、リチャード・マークスがこのトラブルについて自身のツイッターとfacebookに投稿。現場を収めた写真も公開し、「私たちのそばにいた精神の不安定な乗客が、ほかの乗客を攻撃し始めた」「私たち夫婦は大丈夫だが、乗務員1人、乗客2人がけがをした」などと当時の状況を生々しく伝えて、世界中に知られるようになった。

(参考記事:大韓航空パイロットがスト 元凶は高給で引き抜きをする中国?)

 実は、この機内で暴れたイム・ボムジュンは昨年9月にも同じ大韓航空で暴行事件を犯し、ベトナムの裁判所から罰金200ドルを宣告された経歴の持ち主だった。イムは、中小企業であるトジョン物産=イム・ビョンソン社長の息子であることがわかり、わがままに育てられた金持ちのどら息子のお騒がせ騒動として世界中から非難を浴びている。

大韓航空機内で客室乗務員に取り押さえられるイム・ボムジュン (c) Youtube





 一方でかつてトラブルのあった男をそのまま乗せていた大韓航空も非難を受けている。当初は、6人の客室乗務員が全員女性だったこと、スタンガン(スタンガンの一種)を使おうとしたが近くに他の乗客がいたため使えず、ロープで拘束したことなどを説明し、事態の収拾を図ろうとしたが、世界的な厳しい批判を受けて、27日ジ・チャンフン社長自ら出席して機内安全の向上対策についての記者会見を行った。

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