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老化はもうすぐ「治療できる病気」になる

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月30日 19時49分

 また老化が進むと、古い細胞に替わって新しく健康な細胞を増殖する「幹細胞」の数が減少する。最近の研究で、体内のエネルギー代謝に欠かせない「ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド(NAD+)」を人工的に増やせば、幹細胞を活性化できることが分かった。

 NAD+の前身である「ニコチンアミドリボシド」を使ったサプリメントを老化したマウスに投与すると、筋肉の回復や、新しい脳細胞の生成を促す効果があった。米科学誌サイエンスは2月16日に掲載した論説で、NAD+に着目した一連の研究について、「病気の予防や寿命を延ばすための治療法を確立するうえで、NAD+を人工的に増やす手法に期待が集まっている」と評価した。



 ニコチンアミドリボシドを人に投与する臨床実験で、人体に有害な影響は確認されず、NAD+が増加したという研究結果も明らかになった。

 免疫機能を強化する方法もある。免疫機能は加齢とともに使い古されるため、体を細菌の侵入から守り癌細胞などを破壊することが徐々にできなくなる。寿命を延ばす効果があるとされる「ラパマイシン」を使った2014年の研究では、65歳以上の人の免疫機能が著しく強まることが分かった。

「老化防止に特化してラパマイシンを活用すれば、加齢に伴うあらゆる問題を根本で改善できる」と、論文の発表当時、アルベルト・アインシュタイン医学校の加齢研究所長ニール・バルジライはコメントを寄せた。

 老化学者のアレックス・ザヴォロンコフとブピンデル・ブラーは、2015年に発表した論文でこう述べた。「老いを病気に分類すれば、老化は治療可能だとする新たなアプローチやビジネスモデルが生まれ、経済と医療の両面であらゆる当事者にとって有益な結果をもたらす」。

 それなら、もっと前から研究を進めておいてほしかった。こうしている間にも、みんな年を取り続けているのだから。

This article first appeared on Reason.com
Ronald Bailey is a science correspondent at Reason magazine and author of The End of Doom (July 2015).






ロナルド・ベイリー(米リーズン誌サイエンス担当)


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