「言語の絶滅」で失われる世界の多様性
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月6日 17時20分
【参考記事】老化はもうすぐ「治療できる病気」になる
前述のナイジェリアの現状について、地元のナショナル・ミラー紙は、「ナイジェリアがユニークである理由の一つは、言葉の多様性がある。国内には450の言語と方言があり、文化を具現化している。アイデンティティは人々の文化そのものであり、言語が失われることは人々の文化が失われることを意味する」と、言葉を守る必要性を主張している。
カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学の言語学者マーク・トゥーリンは、現状を悲観してこう問題提起している。「私たちは種や生物の多様性を守るために多くの金を投じている。ならば、なぜ私たち人類だけが使う特有の言語を同じように活性化させて守ろうとしないのか」
≪執筆者≫
山田敏弘
国際ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などで勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で国際情勢の研究・取材活動に従事。訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)。現在、「クーリエ・ジャポン」や「ITメディア・ビジネスオンライン」などで国際情勢の連載をもち、月刊誌や週刊誌などでも取材・執筆活動を行っている。フジテレビ「ホウドウキョク」で国際ニュース解説を担当。
山田敏弘(ジャーナリスト)
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