爆撃機6機など中国軍機が無断侵入 日韓30機がスクランブル
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月11日 11時7分
<9日、中国の軍用機約8機が東シナ海から日本海へと向かうルートを往復し、日本と韓国の防衛識別圏に侵入。日本の航空自衛隊と韓国空軍がそれぞれスクランブルをかけて警告した>
9日午前、日本の防衛識別圏に侵入した中国の軍用機はその前後に韓国の防衛識別圏にも侵入、両国が戦闘機合わせて30機をスクランブル=緊急発進させ、警告していたことが明らかになった。YTNなど韓国メディアによると、爆撃機6機を含めた中国軍用機約10機が日本海まで北上し、航空自衛隊20機、韓国空軍がF-15KとKF-16戦闘機計10機を出撃させ、緊迫する状況が起きた。
9日午前10時、韓国の済州島南方にある離於島(イオド)付近で、中国軍用機10機が韓国側の防空識別区域を侵犯した。この離於島はもともと韓中が管轄権を争う場所だ。中国軍機はその後、H6爆撃機6機、Y8早期警戒機1機、Y9情報収集機1機の計8機が日本側の防空識別区域に抜け、対馬海峡経由で日本海を北東に進み、その後反転して、同じ飛行ルートを通って東シナ海の中国領空に戻ったという。対馬海峡付近では過去にも中国の軍用機が東シナ海から日本海へのルートを往復したことが確認されているが、爆撃機が6機も編隊飛行をしたのは初めてのことだ。
中国軍機の飛行ルートYTNニュースを元に作成
防空識別圏は自国の領空に接近する軍用機を早期に識別するため設定する境界線で、領空とは異なり、国際法でも管轄権を認められていないため、他国に退去など強要することはできない。韓国と中国、日本がそれぞれ設定する防空識別圏は、離於島をはじめとする一部エリアで重なっており、今回中国軍機が侵入した離於島も3カ国の防衛識別圏が重なる場所だった。こうした場所を飛行する際には、通常相手国に対して事前に通知することになっているが、9日の中国軍機はそれをしなかったという。
中国軍機の防衛識別圏侵入について報じる韓国メディア (c) YTN / Youtube
中国軍機は韓国軍から無線で警告されると韓国の防空識別圏を1度抜けたが、再び戻ってきて韓国側の再警告で再び出るという動きを見せたという。
日本の防衛省、韓国軍ともに、今回の中国軍の飛行の意図について分析をしているが、韓国が進めようとしているTHAAD配備に対して中国が強硬に反対し、韓中軍事交流が中断されている状況でもあり、中国によるTHAAD配備へのけん制の動きではないかと見られている。
※中国軍機の飛行ルートの図版を追加しました。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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