トランプとロシアの「疑惑文書」を書いた英元情報部員の正体
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月13日 17時34分
英諜報機関のGCHQ(政府通信本部)の元トップ、サー・デービッド・オマンド元長官は、スティールと面識はないと断った上で、文書についてメールでこう答えた。「(私なら)本能的に注意するだろう」「よい記事の核になる材料かもしれないが、大げさに書かれている可能性もある」
一方、英ガーディアン紙の取材に応じたスティールの親しい友人は、ベテランの情報部員が故意にウソの情報を流すことなどあり得ないと語っている。
「スティールは、ゴシップを広めるような人間じゃない」と、25年前からスティールを知っているという元英情報機関職員は言う。「検討の価値がある情報でなければリポートに書いたりしない。空想家や思慮の浅い人間は、この仕事では生き残れない」
アメリカの大手メディアはもう何カ月もこのセンセーショナルな文書の存在を知りながら、真偽が確認できないため公表しないできた。ロシアは米大統領選に介入したのか、ロシアはトランプを脅迫できるネタを持っているのか。スティールは、その確証に最も近い人物として世界中の関心を集めている。
素性がばれたスティールが身を隠したのは驚くにあたらない。だが、史上最も支持率の低い大統領の就任式まであと8日と迫っているのに、アメリカ人は自らの指導者について何を信じたらいいかわからないまま。いつ事実が明らかになるのか、その見通しさえ立たない。その答えに最も近いのは、スティールに他ならない。
ジャック・ムーア
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