台湾問題、平和統一でなく「武力統一」を早める――中国政府系メディア
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月25日 16時0分
しかし、それに対して台湾大学の張麟征名誉教授は「もし蔡英文がどうしても"一つの中国"原則を受け入れないとすれば、そしてもしトランプがどうしても"一つの中国"カードを掲げるつもりなら、(中国)大陸が"非平和的手段"によって台湾を統一する方法は、早まるだろう」と述べた。
こういった報道の方法は中国政府がよくやるやり方で、大陸(北京政府)の立場に立って発言する学者を予め用意しておいて、その学者の発言として中国政府の立場を発信していくやり方だ。日本にも、そのために用意されている研究者がいて、「日本人さえ、こう言っている」という形で、あたかも「国際世論」として世界に発信していくのである。
しかし、要するにそれは「中国政府の言いたい主張」であることには変わりないので、分析対象としては注目に値する。
台湾に米軍を駐留させる――ボルトン発言
というのも、実は1月17日付のウォールストリート・ジャーナルにジョン・ボルトン元米国連大使が寄稿し「米軍の台湾駐留によって東アジアの軍事力を強化できる」と述べ、「在沖縄米軍の台湾への一部移転」を提案したからだ。
ボルトン氏は「台湾は地政学的に東アジアの国に近く、沖縄やグアムよりも南シナ海に近い」とした上で、「沖縄米軍の一部を台湾に移せば、日米摩擦を起こしている基地問題を巡る緊張を和らげる可能性もあり一石二鳥ならぬ一石三鳥」と考えていると、中国の報道は徹底批判に出ている。
たとえば「観察者網」は「トランプ高級顧問:アメリカは再び台湾に米軍を駐留させるべき 上海コミュニケは時効」というタイトルでボルトン氏の発言を詳細に載せ(その英文の原文も載せて)、激しく批判している。
このページの「参与評論」(ネットユーザーコメント)には5185人のコメントがあるが(最初は「0人」と表示されるが、しばらく待っていると「5185人」が浮き出てくる)、そこには好戦的なコメントが数多く見られる。
基本的に「けっこうじゃないか。やるならやってみろ。いよいよ中国が武力で台湾を統一するときが来た。アメリカが台湾に米軍を駐留させるなら、それこそ中国が台湾を武力統一する時期を早めてくれたようなものだ」とするコメントが多い。
興味深いのは、それにまぎれて、「なぜマルクス経済学は貧乏人に低生活レベルの補助を与え、西側の経済学は貧乏人に高レベルの補助を与えることができるのだろう?」(chunxianzhang0000 福建省福州市01-20 03:06)といった非民主的国家である中国政府への不満を書き込んでいるのもあることだ。
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