トランプの「嘘」まとめ(就任式、対日要求ほか)
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月26日 6時32分
24日にはスパイサー報道官もトランプを擁護したが、もちろんこれも「嘘」だった。スパイサーは「2008年のピュー(・リサーチセンター)の」報告書を今回の大統領選で不正があった証拠として挙げたが、ブルームバーグの取材によれば、そもそも2008年にピュー・リサーチセンターはそのような報告書を出していない。
全米各地の選挙管理委員会はすでに不正投票は事実上なかったと結論づけている。数百万人などもってのほかだ。
(番外編)就任演説の際は神が雨を止めた!
驚くべきことだが、トランプは天気についても嘘をつく。21日のCIA職員に向けた話の中で、トランプは20日の就任演説に関してこう発言している。
「神が見降ろしてこう言ってくださった。『あなたの演説で雨は降らせない』。実際、話し始めると......本当の話だが、雨がすぐに止んだのだ。あれは本当に素晴らしかった。その後、空は晴れ渡り、演説を終えて立ち去ると大雨になった」
「違う、話し始めると雨が降り出したのだ」と、ニュースサイト「デイリー・ビースト」のマイケル・トマスキーは書く。「壇上の何人かがポンチョをかぶり始めたのが視聴者の目にも明らかだった(小雨で長くは続かなかったが、雨であることに変わりはない)。その後に大雨になったとトランプは言うが、それも違う」
就任式会場で取材した本誌の小暮聡子も「就任宣誓を経てトランプ新大統領が誕生すると、その瞬間に止んでいたはずの雨が降り始めた」と書いている。なぜ、すぐにバレるような嘘をつくのか。
***
難しいのは、トランプやその取り巻きたちが嘘を嘘とも思っていないようにみえることだ。22日にNBC『ミート・ザ・プレス』に出演したケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、スパイサー報道官がなぜ記者会見で「観客数は過去最大」という明らかな嘘をついたのかと質問され、こう答えた。
「あなたは嘘だと言うが、ショーン・スパイサー報道官が提示したのはオルタナ・ファクト(alternative facts)だ」
事実の代替となる(オルタナティブな)事実――というわけだ。もちろん不可解な言葉ではあるが、「偽ニュース」と「ポスト真実」を背景に始まったトランプ時代に似つかわしい表現かもしれない。
たとえ事実と異なるオルタナ・ファクトだとしても、言う側がそれを意識せず(あるいは戦略的に嘘をつき)、また受け取る側も気にかけなければ、強い影響力を持ち得る。メディアはファクトチェックに忙しくなり、そのために重要な論点を十分に掘り下げられないという事態が生じるおそれもある。
いずれにせよ今後もトランプの「嘘」を無視することはできないだろう。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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