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トランプ「異例の招待」に英国民猛反発でエリザベス女王の戸惑い

ニューズウィーク日本版 / 2017年2月1日 17時6分

<イギリスのメイ首相がエリザベス女王の名代としてトランプの訪英を要請したところへ、世界を揺るがした「入国禁止令」をトランプが発令。イギリスでは訪英中止を求める声が強まり、メイ首相もエリザベス女王も困った立場に>

イギリスのテリーザ・メイ首相は先週、ドナルド・トランプ米大統領に年内の訪英を正式に要請した。エリザベス女王からの招待を伝える形だ。だがこれは「時期尚早」であり、エリザベス女王を「きわめて困難な立場」に追い込むだろう。英タイムズ紙宛ての投稿のなかで、2006~2010年までイギリス外務次官を務めたピーター・リケッツ卿は言う。

イギリス国家安全保障会議の元メンバーでもあるリケッツ卿は、この招待は英王室を「政治的な議論」に巻き込む危険性あり、招待の時期も早過ぎて前例がないとする。公式訪問の場合は、女王主催の歓迎レセプションがバッキンガム宮殿で開かれるのが通例だ。

【参考記事】英中「黄金時代」の幕開けに、習近平が「抗日」の歴史を繰り返した理由

従来は、アメリカ大統領が国賓としてイギリスに招待されるのは就任後かなり経ってからだった。リケッツ卿は、トランプが就任早々に招待を受けるという「異例の名誉」にあずかる資格は特にないのではないかと疑問を呈す。バラク・オバマ前大統領がイギリスを公式訪問したのは就任してから2年4カ月後、ジョージ・W・ブッシュ元大統領も2年10カ月後のことだった。

「(トランプが)どのような大統領になるのかわかるまで様子を見てから、女王に招待を進言するほうがはるかに賢明だった」とリケッツ卿は述べている。

トランプ政権は「EUの脅威」

アメリカ訪問中のメイが1月27日にトランプを招待すると、1月30日にはイギリスの首相官邸周辺で政府への抗議デモが発生。「Shame on May(恥を知れ、メイ)」というスローガンが叫ばれる騒ぎとなった。トランプ訪英の取り消しを求める署名は、1月31日午前(現地時間)までに160万件を超えた。

【参考記事】エリザベス女王がトランプ氏を公式招待へ──王室の占める位置とは

トランプは1月27日、難民受け入れの120日間停止と、シリア難民受け入れの無期限禁止を明記した大統領令に署名した。はまた、イスラム教徒が多数を占める7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)の国民の入国についても90日間禁止を命じている。

メイは、アメリカの後に公式訪問したトルコで、難民受け入れを禁止した大統領令に関して意見を問われたが、この時は批判を避けた。だが首相官邸はのちに、メイは難民受け入れ禁止に「同意しない」とする声明を発表した。イギリス外務大臣のボリス・ジョンソンは1月30日に下院で、大統領令は「差別的で分裂を生む」と発言している。また野党労働党議員はトランプの大統領令を非難する動議を提案している。非難は国外にも広がり、EUのドナルド・トゥスク大統領は1月31日、トランプ政権を「EUを揺るがす外的な脅威だ」と指摘した。


【参考記事】トランプは、ヨーロッパを不安にさせる「醜いアメリカ人」



どんなかたちの訪問であれ、気候変動に関して相反する考え方を持つトランプとチャールズ皇太子の関係が、事態をより複雑にする可能性がある。チャールズ皇太子は気候変動への取り組みを熱心に訴えている。一方のトランプは、気候変動は「中国のでっちあげ」だと述べたことがある。

トランプがイギリスを公式訪問する際に、チャールズ皇太子が気候変動の件を持ち出す可能性もあるかもしれない。ガーディアン紙によれば、皇太子は面会の可能性を正式には否定していない。


コナー・ギャフィー

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