韓国、米国防長官とサード配備を確認 中国との訣別に踏み切る?
ニューズウィーク日本版 / 2017年2月3日 22時23分
核戦争の"最後の審判の日"で、北朝鮮を威圧
韓国メディアがさらに今回のマティス長官の訪韓で注目したのは、その搭乗機がE-4Bナイト・ウォッチだったということだ。ボーイング747ジャンボジェットをベースに改造されたE-4Bは、核戦争発生時に地上での指揮が執れなくなった際にアメリカ大統領や国防長官が搭乗し米軍を空の上から指揮するために作られたもので、別名Doomsday Planes=最後の審判の飛行機と呼ばれている。通常、国防長官はVC-32という国防長官専用機を使うが、今回同盟国への訪問としては史上初めてE-4Bに搭乗して訪韓した。有事の際には空中から大陸間弾道ミサイル部隊(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)部隊、戦略空軍などを指揮して相手に報復を加えることができるE-4Bに乗ってきたことは、北朝鮮に対する強力な威嚇の意味が込められていた。
サード配備反発で韓国への圧力強める中国
米韓によるサード年内配備確認の発表を受けて、すぐに反応を示したのが中国だ。中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙の環球時報は「韓国人はまるでアメリカを救世主のように思っているようだ。ソウル既に徹底的にワシントンに傾いており、アメリカの操縦に身を任せている。韓国の独立外交はほとんど死んだも同然で、思考停止状態に陥っている」と皮肉った。さらに、「マティス長官はサードが北朝鮮以外の国を狙ったものではないと言ったが、中国は信じない。韓国は自身が気がつかないうちに大国間の駆け引きに巻き込まれ、それによる負担や費用は長引くだろう」と警告した。
事実、韓国と中国の関係はサード配備計画が発表された昨年7月以降、急激に悪化しており、経済面での影響がさまざまな分野に広がってきている。
聯合ニュースによると、韓国統一研究院は、サード配備が決定されてから7月8日から今年1月までの間に中国政府が韓国を対象に43件もの"報復"措置が執られたという。文化面では韓国のK-POPアイドルなどのコンサートのキャンセル、ドラマの放映禁止、チャーター便の運航不許可など23件。経済分野では電気自動車のバッテリー認証基準の強化や、家電製品や韓流コスメなどの品質基準の引き上げなどがあるという。
同研究院は「韓国を狙った中国側の報復が次第に多様化している。中国国民の民族主義的な感情に火が付けば、韓国製品不買運動に発展する可能性もある」と分析した。
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