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サタデー・ナイト・ライブに「スパイサー報道官」が笑劇デビュー!

ニューズウィーク日本版 / 2017年2月8日 17時46分

<アレック・ボールドウィン演じるトランプの爆笑効果で22年ぶりの高視聴率を稼ぐSNLに、新たな傑作シリーズが誕生>

米NBCの人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」は先週土曜、トランプ政権のショーン・スパイサー報道官をパロディにして大ウケにウケ、女優メリッサ・マッカーシーが演じたその物まね自体がニュースになった。ご存じの通り、ボスのトランプはSNLが大嫌い。俳優のアレック・ボールドウィンにネタにされてはツイッターで怒りまくっている。いったい今度はどんなケチをつけたのだろう?


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金髪を後ろになでつけ、大きめの男性用スーツを着たスパイサー役のマッカーシーは、こう言って会見を始めた。「今日は、過去2週間の君たちの私に対する扱いを、君たちに代わって自分に謝罪することから始めよう。許すわけないだろう、当たり前だ!」

ある意味、トランプ政権でいちばん大変なのはスパイサー。最初の仕事は、居並ぶ記者たちを相手に、トランプの大統領就任式の聴衆は過去最大だった、と言い張ることだった。大統領選挙の一般投票でヒラリー・クリントンに負けたのは「何百万人もの不法移民がクリントンに不正投票したから」だとトランプが言えば、それも弁護する。

「入国禁止は禁止の意味ではない」

マッカーシー演ずるスパイサーも、何が何でもトランプの政策を正当化するために攻撃的になっている。一部の移民や難民を入国禁止にした大統領令について記者に尋ねられると、「入国禁止は禁止という意味ではない、よって禁止令ではない!」と言い、記者が意味がわからないと説明を求めると、「私を解雇させて、別の人間を入れさせるつもりか!」と逆ギレ。


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国際ホロコースト記念日にトランプがリリースした追悼文に600万人の犠牲を出したユダヤ人への言及がまったくなかった問題にもマッカーシーは突っ込んだ。記者の質問に対し、マッカーシー演ずるスパイサーは、そんな質問をするとはいい度胸じゃないか、とばかりに記者を水鉄砲でびしょ濡れにする。「その汚い、嘘つきの口」をきれいにしてやると言った。「どうしたらあの声明が反ユダヤ主義になるというんだ。スピーチライターはユダヤ人でホロコーストサバイバーの子孫なのに!(報道では、トランプ側近のボリス・エプスタインのことだと言われている)」

放送の翌日、FOXテレビのトーク番組「フォックス&フレンズ」がスーパーボウルでスパイサーを発見、マッカーシーの物まねについて感想を聞くと、「かわいいし、おかしかった」と、意外にしおらしく答えた。「そんなことより大統領がアメリカのために必死に取り組んでいる政策について話をしたいが、これもアメリカ文化の一部なんだろう」



スパイサーをネタにしたコントを見たトランプはもちろんおかんむりだと、トランプと親しい情報源に取材したポリティコは報じた。それはそうだろう。マッカーシーのスパイサーはメディアに対する攻撃性や言葉を噛む癖、論理破綻、チューインガムを噛む癖などを完璧にコケにしたのだから。だがトランプが腹を立てたのはそこではなく、女性がスパイサーを演じたことだという。「トランプは側近がひ弱に見えるのを何よりも嫌う」と、その情報源は言う。

トランプ効果で22年ぶりの高視聴率を取っているSNLにとって、ネタはしばらく尽きそうにない。






ライアン・ボート

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