日米首脳会談、異例の厚遇は「公私混同」なのか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2017年2月14日 12時0分
例えば、2004年にレーガン大統領が死去した際に、偉大なる大統領の死として盛大な葬送が行われ、メディアはレーガンへの賛辞で溢れたのですが、唯一、レーガンの「汚点」だとして、この83年の「日の出山荘での座禅」が取り上げられていました。
つまり、日本という外国から「度を越した接待を受けた」ということが非難の対象になったのです。中曽根氏サイドとしては「質素で精神的なもてなし」をしたつもりなのでしょうが、お茶を立てたりしたのが「極めて高級感のある接待で不適切」という印象を20年も後になってメディアに蒸し返されたわけです。
この辺は非常に難しい問題です。現在のホワイトハウスの主は他でもないトランプ氏ですから、こうした公私混同の問題や、首脳間の親密な関係というのも「トランプ氏の個性」ということで、「暫定的に許された」形となっています。
【参考記事】マティス米国防相がまともでもトランプにはまだ要注意
今回のゴルフと度重なる会食については、メディアを基本的にシャットアウトすることに成功し、また各メディアも特に批判キャンペーンを組んだりはしていません。ですが、仮にトランプ大統領の支持率が急降下し、各メディアが一斉にトランプ批判を繰り出すような事態になれば、今回の「フロリダでの親密な関係」というのは問題にされる危険は十分にあるということです。
今回テレビカメラはほぼシャットアウトされましたが、活字を抑えることはできなかったようで、例えばAP通信社のダーレン・スーパービル記者、ジル・コルビン記者連名の記事「トランプのフロリダ屋敷は抗議行動を加熱させ、倫理的疑念を加速する」では、今回の日米首脳による「フロリダの週末」に関して手厳しい批判がされています。
この記事自体は、トランプ大統領と安倍首相がリゾートでの会食やゴルフで週末を過ごしていたその外で、「キーストーン・パイプライン建設反対」や「入国禁止令反対」のデモが行われていたという話題と、トランプ氏所有のリゾートに外国首脳を無料で招待することの問題を「ごっちゃ」にして報じており、その限りにおいては、ポジショントークと言われても仕方はないでしょう。ですが、仮にそうであっても、公私混同の倫理問題に関する指摘については、今後の参考にしたほうが良さそうです。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
岩田明子 さくらリポート トランプ氏再任なら懸念される「北朝鮮外交」拉致問題解決を迫ることができるのか 暗殺未遂事件、自民総裁選にも影響
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月17日 6時30分
-
トランプ氏の返り咲きに期待 ハンガリー首相、会談後に称賛
共同通信 / 2024年7月13日 7時40分
-
「バイデン氏は終わった」と欧州メディア、失言巡り 欧州首脳は擁護
ロイター / 2024年7月13日 2時13分
-
安倍晋三氏の国際的実績とは(下)アメリカはなぜ彼を賞賛したのか
Japan In-depth / 2024年7月11日 21時0分
-
NATO首脳、関心はトランプ2・0の欧州・ウクライナ プーチン氏に妥協の懸念も
産経ニュース / 2024年7月11日 6時38分
ランキング
-
1トランプ氏“暗殺未遂事件”で蔓延する“陰謀論”と“フェイク” 右派も左派も拡散の異常事態 深まる分断 米大統領選の行方は【報道特集】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月20日 21時30分
-
2トランプ氏殺害予告の男逮捕=SNSに投稿―米フロリダ州
時事通信 / 2024年7月21日 5時49分
-
3在韓米軍、F16飛行隊増強 ソウル南方基地で1年間
共同通信 / 2024年7月21日 5時28分
-
4キリスト教「福音派」トランプ氏を熱狂的に支持するワケとは?
日テレNEWS NNN / 2024年7月20日 21時25分
-
5トランプ氏、右耳の傷は幅2センチ=元主治医が明かす
時事通信 / 2024年7月21日 14時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)