金正男クアラルンプール暗殺 北朝鮮は５年前から機会を狙っていた

ハンギョレ新聞などの韓国メディアは、金正男の死は悪化している北朝鮮と中国の関係とも無関係ではないと指摘している。金正恩が最高指導者になってから5年が過ぎたが、まだ中国との首脳会談は行われていない。北朝鮮はミサイル発射実験などに対して、国連の制裁措置に賛同するようになってきた中国との関係は悪化する一方だ。

金正恩は、中国が金正男を擁立して、いわゆる「傀儡政権」を樹立する可能性を最も恐れていた。比較的オープンで柔軟な思考を持ち、親中派とされる金正男は、中国が金正恩を見限る際に利用する"カード"として一番可能性が高い存在だったからだ。

一方、韓国メディアNEWSISは、金正男が第三国に亡命をしようとしたために殺された可能性があると報じている。取材に答えたヤン・ムジン北朝鮮大学院大教授は、「金正男が韓国をはじめとする第三国への亡命を打診したことが見つかり、殺害された可能性が高い」と分析している。仮に金正男が韓国を含めた第三国に亡命した場合、北朝鮮の機密情報が出てしまうだけでなく、いまだ盤石と言えない金正恩のリーダーシップに対し、国内外から疑問の声があがりかねないからだ。

２月16日は、金正恩と正男の父、金正日の生誕75周年にあたる。北朝鮮では光明諸聖人の日として祝賀行事が行われる日だが、果たして金正日は対立した二人の息子の結末を知ったらどう思うのだろうか──。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部