中国の対北朝鮮の強硬姿勢は本物か?
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月7日 11時20分
石炭の輸入停止措置は、金正男(キム・ジョンナム)の暗殺を許すという、中国の失態の直後に出された。
金正男は過去10年ほど、中国当局の庇護下にあるような状態で、マカオを生活の拠点としていた。北朝鮮の工作機関が画策した可能性の高い今回の暗殺事件は、中国の顔に泥を塗った。
とはいえ、中国にすれば北朝鮮へのメッセージは二の次。北朝鮮問題に「本気で」取り組む意思があるそぶりをアメリカに見せることこそが最重要課題だ。
【参考記事】韓国THAAD配備に反発、中国が韓国旅行商品の販売停止へ
ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮の核・ミサイル開発を可能にしている中国を批判。北朝鮮への影響力を行使するよう圧力をかけていく方針だ。そのほか中国との貿易不均衡や南シナ海問題などについても、大げさなコメントを連発している。
中国が取引をしようと考えている相手はトランプだ。石炭輸入禁止のような「ガス抜き」で様子をうかがっているのだろう。
韓国の政局混乱もある。中国はこれを好機と捉え、北朝鮮問題に積極的に関与することを示して「ポスト朴槿恵(パク・クネ)」の指導者に好印象を与えようとしている。さらに、可能性は低いものの、韓国の次期政権がTHAADの配備を延期または中止することを願っている。
今回の制裁措置への取り組みは朗報ではある。それでも、中国の対北朝鮮政策について幻想を抱くべきではない。
[2017年3月7日号掲載]
J・バークシャー・ミラー(本誌コラムニスト、米外交問題評議会研究員)
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