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受験格差が中国を分断する

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月14日 10時30分

だから林は、娘をアメリカの大学に留学させたいと考えている。かつて海外留学は超富裕層の特権だったが、過去10年間で上位中流層や一般の中流層の間でも珍しくなくなってきた。



入学枠削減の発表後、多くの留学斡旋会社が子供のために必死の親たちにソーシャルメディアを通じて売り込みを掛け、留学は実現不可能な夢物語ではないとアピールしている。

だが最も安価な海外留学コースでも、一部の中流層には手が届かない。中国の人口動態の変化とその影響を研究しているシカゴ大学ポールソン研究所のダミアン・マは、中流層の中には「全く余裕のない人々もいる。彼らは今後も激化する競争に身を置き続けるしかない」と指摘する。

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中流層の留学ブームがさらに拡大し、中国の教育制度を変えるきっかけになる可能性は低いと、マは言う。確かに、大学入学枠削減の影響を受ける親たちが大挙して子供を留学させようとするかは分からない。それでも今回の出来事が、自分たちは教育制度の犠牲者だという中流層の意識を強め、不公平な扱いを受けているという自覚を芽生えさせることは確かだろう。

林もその1人だ。娘の教育について考えるとき、政府が江蘇省の親たちに受け入れを求める犠牲は、北京に対する甘い措置に比べてあまりに大き過ぎると感じている。

「私たちは外国の大学に子供を避難させようとしているわけではない。それでも、留学が娘により多くのチャンスを与えてくれるのは確かだと思う」

[2017年3月7日号掲載]

From Foreign Policy Magazine

ローレンス・ティシェイラ


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