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内憂外患のフィリピン・ドゥテルテ大統領、暴言を吐く暇なし

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月14日 14時40分

同議員によると2006年~2015年までの間、ドゥテルテ氏名義の複数の銀行口座に不正な資金の流入があり、不正蓄財の疑いがあるとして大統領に「改めて各口座の出入金記録と現在の預金額の公開」を要求。さらにダバオ市長時代のドゥテルテ氏に1億2000万ペソ(約2億8000万円)が実業家から銀行口座に振り込まれている事実も新たに確認した、と発表した。もし疑惑が誤りなら「即座に議員を辞職する」と同議員は強調した。

これに対しドゥテルテ大統領は「不正は一切なく、もし事実なら私が辞職する」と疑惑を完全否定。大統領報道官も「昔の済んだ話を同議員は持ち出しているだけで解決済みだ」「疑惑があるなら会見ではなく司法の判断を仰ぐのが順当な手続き」「口座情報開示の準備はできているが司法の手続きが必要だ」などと反発している。

今後この不正蓄財疑惑が果たして司法の場で議論されるのか、再びウヤムヤにされるのか、それともトリラネス議員の身に危険が迫るのか、予断を許さない。というのも反ドゥテルテ派の急先鋒だった別の上院議員は既に逮捕、起訴されているからだ。

【参考記事】ドゥテルテ麻薬戦争で常用者を待つ悲劇


反大統領派急先鋒議員が逮捕される

2月24日、国家警察はデリマ上院議員を包括的危険薬物取締法違反の容疑で逮捕、その後同容疑で起訴した。直接の逮捕容疑は同議員が司法長官を務めていた2012年~13年の間にマニラ首都圏モンテンルパにあるニュー・ビリビット刑務所内での違法薬物取引に関わった疑いとされている。同議員は逮捕前に会見して容疑を完全に否定するとともに「私は政治犯だ。しかし逃げない、真実を司法の場で明らかにする」と闘争継続を表明した。



フィリピンでは麻薬関連犯罪の容疑者などが裁判中や服役中に行方不明になったり、原因不明で死亡したりするケースがあることからデリマ議員の身の安全を危惧する声も出ているが、国家警察長官は「警備を厳重にする」と特別配慮を示した。

デリマ議員はドゥテルテ大統領が就任後積極的に進めている麻薬関連犯罪容疑者の超法規的殺人を容認する政策に「人権侵害の疑いがある」として反対を表明。ドゥテルテ大統領がダバオ市長時代に麻薬犯罪容疑者を殺害する処刑団を容認していた容疑で元処刑団のメンバーを証人として委員会に喚問するなど反ドゥテルテの急先鋒として注目されてきた。

【参考記事】比上院議員、ドゥテルテを大量殺人や人道に対する罪で告発

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