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ほぼ水なしで洗う究極のエコ洗濯機

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月15日 10時50分

「昔は川で衣服を洗っていたから、洗濯は水でするものだという固定観念がある」と、ゼロスのジョナサン・ベンジャミン国際市場担当社長は言う。

同社は水集約型の革の加工業など他分野への応用も試みている。「洗浄や染色などの分野で、ビーズには途方もない可能性がある」と、ベンジャミンは言う。「ポリマーのビーズで入浴する時代はまだ遠いかもしれないが、どうなるか分からない」



水は90%節約できる COURTESY XEROS

カリフォルニアの干ばつは6年目に入り、ヘーゲルのホテルではゼロスの洗濯機を3台使っている。節約できる水道・電気代は1台当たり月に約2200ドル。今年第1四半期までには、約1500万リットルの節水を達成する予定だ。この量は、オリンピック用プール6つ分に相当する。

ゼロスは洗濯機を販売する際、1台につき月1500ドルの維持管理費とビーズの回収・交換サービスの手数料を課している。そのため、一般家庭で使うにはコストが高過ぎるのが難点だ。

しかし同社は、家庭用洗濯機の開発にも取り組んでいる。もし成功すれば、カリフォルニアの水不足の緩和に大いに貢献するだろう。洗濯機が使う水は、一般家庭の水利用量全体の21.7%を占めているからだ。

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だがカリフォルニアの干ばつは、この新技術だけでは解決できないかもしれない。州内の洗濯機がすべてゼロス製になっても、特に水利用の80%を占める農業用水の課題は残る。

気候変動も問題だ。15年に発表されたコロンビア大学の気候科学者の研究で、人的要因による地球温暖化がカリフォルニア州の干ばつを15~20%悪化させたことが明らかになった。

ベンジャミンは、深刻な水不足の解決には長期的な視点が必要だと考えている。「もはや世界が水の使い方を見直すべき時が来た。水は飲食のためだけに使われるべきだ」

ただ、根本的な解決はまだ先。それまでは「魔法のビーズ」が問題を緩和してくれそうだ。

[2017.3.14号掲載]
アンソニー・カスバートソン


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