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外国人労働者に矛先を向ける「金満国家」サウジアラビアの経済苦境

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月16日 18時30分

と言うのも、サウジ政府は経済停滞への対策として外国人労働者に矛先を向け始めていて、今年7月から外国人を標的にした課税を導入する予定でいる。サウジでは民間労働力の8割程を外国人が担っているが、彼らから金を徴収して財源とするだけでなく、政府としては国民の失業率が高まる中で国民を仕事に就かせたい思惑もある。

【参考記事】ソフトバンクと提携したサウジ副皇太子が握る王国の未来

政府はまず外国人労働者への100リアル(約27米ドル)課税を開始し、この課税措置によって10億リアルを獲得することになるという。また今後は企業に外国人が占める割合などによって外国人に対する課税額がどんどん増えていくことになる。

また政府の財政が逼迫していることで、企業に対する国の債務の未払いなども問題になっている。建築業では政府からの支払いが滞っていて、例えば建築最大手サウジ・ビンラディン・グループは、途上国からの労働者をすでに7万人も解雇している。今後、課税も行われれば、外国からの駐在員や労働者などの解雇が増えると見られている。

前述の知人は、「昼間は暑くて仕事にならないような国で、景気が悪くて外国人への税金を増やすというなら、もうこの国に残る理由はない」と嘆く。すでに知人の暮らすサウジ第2の都市ジッダでも、街中で賃貸住居の空き部屋が目立つようになっているという。

サルマン国王の1500人もの随行員が、訪問先の国々で何をするのかはよくわからないが、まずそのコスト感覚を見直すところから始めた方がいいだろう。

山田敏弘(ジャーナリスト)


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