米中戦争の可能性は低くない──攻撃に強く守りに弱い軍が先制攻撃を招く
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月17日 19時30分
米中戦争の開始から1年で、アメリカのGDP(国内総生産)が5~10%縮小するのに対し、中国は25%以上のマイナス成長になる見込みだ。中国では政権の正統性が自国経済の強さに左右されるため、政治も不安定になる。
この問題について、米政府はどのような政策をとるべきだろうか。中国による南シナ海の実効支配を許すことはあり得ない。同海域は世界の貿易量の40%が通過するなど、アメリカにとっても不可欠な海上輸送ルートだ。またもし中国に立ち向かわなければ、アメリカは同盟国や周辺諸国の信頼を失ってしまう。
【参考記事】南シナ海、米中戦争を起こさず中国を封じ込める法
危険を和らげる手段はある。国防総省は、潜水艦や無人航空機といった敵の攻撃を受けにくい戦力の開発や生産、配備を進められる。もちろん、西太平洋地域の米軍を一変させるには何年もかかるだろう。
米中の危機がどれほど危険な結果を招くかを考えれば、アメリカは中国との対話に励むこともできる。ただし中国が南シナ海の大部分は自国の領土だと主張していることから、対話は難しく時間がかかるうえ、必ずしも成功するとは限らない。
今できることは、米中両国の国防相が直接的かつ積極的な対話のチャンネルを確保し、先手必勝の理論が実行される前に危機を回避することだ。危機の時だけでなく、万一戦闘が勃発したときに事態がエスカレートするのを避けるためにも、対話のチャンネルは常に開いておくべきだ。
デービッド・C・ゴムパート(米ランド研究所研究員)
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