情で繋がり、情でつまずく保守の世界~森友学園以外にも繰り返されてきた保守の寄付手法~
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月24日 19時20分
中山成彬氏(前略)「私も園児に教育勅語を斉唱させている幼稚園ということで視察したことがあるが、経営者自身が勅語の精神を理解していないようだ」
(出典:中山なりあきツイッター)
平沼赳夫氏(事務所)「こちらが知らない間に掲載されていた」「本当に迷惑している」
(出典:テレビ朝日「スーパーJチャンネル」)
などと一様に突き放している。これらの言を全面的に信ずるとしても、なぜ些かでも初手の段階から同学園の教育内容に不信や違和感を持っていたにもかかわらず、講演会に参加したり、協力する姿勢を見せたのだろうか。それは、ひとこと「情」の問題に尽きる。愛国を掲げてさえいれば、その内容の良し悪しはともかく「同志」として連帯し、有形無形に協力するというよく言えば「義理人情」、悪く言えば「なれ合い」のムラ的世界観の中にいる結果なのである。
情で繋がり、情でつまずく保守の世界
2007年、2014年、2017年と3つの大きな「愛国」を標榜した保守運動や保守事業における賛同人が、くしくも「映画製作」「都知事選立候補」「学校建設」という全く違う目的にもかかわらず、それを支え、また広告塔に利用(された)人々がこれほどの割合で重複するという事実は、保守界隈=保守ムラが、いかに閉鎖的であり、またその狭い世界の中で「情」の理屈が発生し、違和感や不信や不正義が「情」の前でかき消され、ムラの中の巨大な同調圧力となって席巻していたことを何よりも物語っている。
そしてくしくも、この三つの「寄付手法」は、その集めた金額も1億円強~4億円程度(公称)という範囲で似通っている。保守系言論人・文化人を広告塔にして、市井の保守派市民から浄財を集められる上限がこの金額のレンジなのかもしれない。
森友学園に広告塔として利用された保守系言論人・文化人は、保守ムラの住人であるがゆえに、自発的に、あるいは外発的に、この狭い世界の巨大な「情」という同調の空気に無批判であった。そして、決まって何か問題が起こると、事後に「私は関係がない、知らない」という風に距離を保ち、無知・無関心を決め込むのである。「愛国」を錦の御旗にした運動や事業は、多少の不協和音を「情」で覆い隠す。
「せっかく愛国者が頑張っているんだから、批判しちゃかわいそうじゃないか、応援してやろうじゃないか、保守同士仲良くやろうじゃないか」というムラ的な「情」こそ、保守界=保守ムラに横たわる構造的欠陥である。
この記事に関連するニュース
-
新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! 漂流する首都の保守票の行方 「受け皿」目指す田母神俊雄氏と百田尚樹氏のタッグが難しいワケ ポスト安倍時代の保守勢力の流動化
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月20日 6時30分
-
東京都知事選 候補者多数で「ポスター掲示枠足りない」問題…NHK党系は24人擁立
東スポWEB / 2024年6月17日 6時13分
-
田母神俊雄氏「保守系は大同団結すべき」非小池の保守層取り込みに小林興毅氏と一本化
東スポWEB / 2024年6月16日 14時59分
-
「私が保守派の受け皿になる」元航空幕僚長・田母神俊雄氏に独占インタビュー 都知事選に立候補表明 「都民税減税で若者に効果を」
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月15日 13時43分
-
田母神俊雄氏の都知事選立候補で保守陣営が大混乱 「ストップ・ザ・蓮舫」優先か
東スポWEB / 2024年6月1日 6時5分
ランキング
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください