米ビール業界を襲うマリファナ「快進撃」
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月24日 19時0分
その逆に、マリファナによる経済効果は大きい。例えば2014年に大麻を合法化したコロラド州では、大麻の売り上げが9億9600万ドルに達し、1万8000人以上の雇用を創出している。マリファナを吸いに行く「大麻ツーリズム」なるものも誕生している。
マリファナの合法化が、コロラドでは約24億ドル規模の経済効果をもたらしているという。そんな状況を見た他の州が、合法化を考慮しないはずがない。ちなみにマリファナ市場は今後、500億ドル規模にまで成長すると見込まれている。
日本ではマリファナは違法なので絶対に手を出してはならないが、アメリカでは合法化がどんどん広がっているので、その手軽さから吸引者が増え続けるのは必然の成り行きなのかもしれない。
結果として今後、マリファナの勢いに押されて消費者のビール離れが進む可能性があるということだ。ちまたでは、マリファナ成分入りのビールといった、いかにも苦し紛れのアイデア商品も出回っているが、そんなものではマリファナ市場の拡大は止められそうにない。
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ただビール業界にとっては朗報もある。ドナルド・トランプ大統領の存在だ。
実は、米連邦法では大麻は違法だ。それにもかかわらず、各州が独自の州法で合法化しているというのが実情だ。米司法省によれば、各州が未成年者の手に渡らないよう適切に規制などをしていれば、国が州の方針に介入することはないという。
ただトランプはマリファナを違法な薬物であると否定的に見ていて、すでに娯楽使用を合法化している8つの州を取り締まる可能性すらあると言われている。少なくとも、トランプ(と、マリファナ嫌いで知られるジェフ・セッションズ司法長官)がホワイトハウスにいる間は、連邦法などでマリファナの規制が大幅に緩和されることはなさそうだ。
いずれにしても、アメリカでマリファナを支持する人は多く、各種調査結果などを見ても今後さらに需要が高まっていくことになるだろう。
アメリカのビール業界は戦々恐々としている。
山田敏弘(ジャーナリスト)
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