森友学園問題、中国でねじれ報道――「極右教育」籠池氏側に立つ?
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月27日 17時0分
――彼ら(安倍政権側)は全ての問題を籠池に押し付け、籠池一人を悪人に仕立てあげることによって、無事やり過ごそうとしている。しかし契約書を作成したのは籠池ではなく財務省側であることは明らか。この方面に対する調査が必要。これはすでに職権濫用・職務怠慢罪を形成している。犯罪の問題なのだから、検察が調査をすべきではないのか?(ここまで引用)
木村氏は最初、教育勅語など、森友学園を批難していたようだが、ここでも何だか籠池氏を擁護する側に立ち始めており、奇妙なねじれ現象が起きている。
「国際オンライン」の報道は最後に、「忖度(そんたく)」という言葉に言及している。
中国は「忖度」の元祖
籠池氏は国会における証人喚問をこなしたあと、さらに外国人記者クラブに行き、持論を述べた。そのため世界各国メディアの報道するところとなり、中国共産党系の環球網などがイギリスメディアの報道を転載している。
その外国人記者クラブでも、果たして「忖度」という日本語を、どのような英語で表現すればいいかが話題となった。
これに関して「国際オンライン」など、少なからぬ中国メディアが注目している。
なぜなら、中国という国は、その昔から「忖度文化」の中で生きてきており、今は「中国共産党の意向への忖度」の中でしか生きることができない精神文化の中にあるからだ。
したがって、いずれも「安倍夫妻が直接の関与をしていなかったとしても、その名前が(名誉校長などと)書いてあるだけで、これは大変だ、重要視しなければと、官僚は十分に"忖度する"のは明らかだ」と「自信をもって断言している」のである。
中国の情報によれば、「忖度」という言葉が最初に記録に現れたのは西暦210年に書かれた『述志令』とのこと。三国志時代(西暦180年~280年)の魏の国、曹操の記録の中にあるという。
以来、中国は、「忖度文化」の中で生きてきたと言っても過言ではない。
日本語では「他人の心を推しはかること」となっているが、中国語で「忖度」という言葉を検索すると、10以上の類似語が出てきて、奥が深い。要は「相手の思惑を汲み取って、自分に不利を来さないようにする、一種の保身術」と、中国の庶民は解釈している。
中国では中国共産党の指導層の思惑を汲み取って、その意向に沿うように行動して我が身を守ることなど、基本中の基本。
それが日常化している中国の庶民の目には、日本は「潔癖すぎる」と映っているのではないだろうか。こんなことが「事件」になるという日本社会に、あるいは、羨望の念を抱いているのかもしれない。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
森元首相「私を陥れる作り話」 月刊誌で反論、還流関与を否定
共同通信 / 2024年4月26日 21時43分
-
社説:自民裏金の処分 首相の保身と打算が透ける
京都新聞 / 2024年4月6日 16時0分
-
野党、裏金幕引きに反発 全容解明へ証人喚問要求
共同通信 / 2024年4月5日 0時22分
-
社説:後半国会へ 政権与党はごまかしやめよ
京都新聞 / 2024年3月30日 16時0分
-
野党、資金パーティー裏金追及へ 「自民は真実語らず」
共同通信 / 2024年3月28日 20時27分
ランキング
-
1「プーチンおやじ」の機嫌を取り、「張り子のクマ」ロシアと抱き合う中国の本音
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月26日 17時4分
-
2元大物映画プロデューサーの有罪判決破棄 告発の女優ら激怒 米国
AFPBB News / 2024年4月26日 16時3分
-
3ガザ休戦案で協議か=エジプト代表団がイスラエル入り
時事通信 / 2024年4月26日 23時11分
-
4「中国が米大統領選干渉」 ブリンケン国務長官
共同通信 / 2024年4月26日 23時32分
-
5「駐日米大使の醜聞もみ消し」 トランプ氏の公判で証言
共同通信 / 2024年4月26日 15時58分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください