スコットランド2度目の独立投票で何が起こるか
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月29日 19時35分
【参考記事】独立スコットランドを待つ厳しい現実
英労働党の元アドバイザー、ブレア・マクドゥーガルは、ブレグジットを支持したナショナリストのグループが今後のカギを握るとみる。「彼らにとっては、ロンドンにいる英政府のエリート集団もブリュッセルにいるEUのエリート集団も似たり寄ったりだ」。
マクドゥーガルは、2度目の住民投票では独立派が善戦しそうな理由として、前回の住民投票でスタージョン率いる与党スコットランド民族党(SNP)が公共事業の拡大を公約に掲げていた点を挙げる。だがそれは、スコットランドが利権を持つ北海油田の収入で潤っていた当時の話。その後原油価格は下落し、財源の根拠はなくなっている。
■スコットランドが独立したら何が起きるか?
昨年以来、数カ月先に何が起きるかを言い当てる自信がなくなったのはジャーナリストだけではない。スコットランド独立のようにまだ少し先で不確実な話題なら尚更だ。だが少なくとも、何が分からないのかは分かっている。
独立後のスコットランドがEU加盟を申請しそうなのはその通りだ。問題は、何年もかかる通常の加盟手続きを経る必要があるかどうかだ。イギリスが離脱した後すぐにスコットランドを新加盟国へとスピード出世させることに、EU側は政治的な魅力を感じるかもしれない。だがその決定にあたり、独立直後のスコットランドの不透明な財政基盤が足かせになる可能性もある。
SNPは前回の住民投票より前に、独立スコットランドの基本理念を詳細にまとめた白書を公表したが、原油価格の下落とブレグジットのおかげで見事に賞味期限切れになっている。最新の情勢に合わせて説得力のある新たな理念を作り出す必要がある。
2度目の住民投票では、スタージョンは前回以上に厳しい戦いを強いられそうだ。だが世界でイギリスの地位が揺れ動くなか、今すぐスコットランド独立の可能性を排除するのは愚かな判断だ。
ジョシュ・ロウ
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