イバンカ政権入りでホワイトハウスがトランプ家に乗っ取られる
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月31日 20時10分
反対意見もある。どうしてイバンカが大統領補佐官にふさわしいのか、とツイッターで質問を受けたマイケル・マクフォール元駐ロシア米大使(米スタンフォード大学教授、政治学)は、こう回答した。「うーん、分からない」
トランプ寄りの人物ですら、子供たちの関与には当初から異議を唱えていた。昨年の大統領選でトランプが勝利した数日後、政権移行チームの責任者だったルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長は米CNNに出演し、トランプの子供たちが政治に口出しできないよう障壁を作らねばならないと言った。
イバンカはそれと同じ日に米CBSニュースに出演し、ホワイトハウスで働く計画はなく、むしろ「娘としての役割」に尽くすと語っていた。
ケネディ以来の反縁故者法に反する
ロバート・ライシュ元米労働長官は先週、イバンカの政権入りをこう切り捨てた。「まるでクーデターだ。国家略奪を企む独裁者の家族がホワイトハウスという宮殿に移り住んでいる」
アメリカでは1960年にジョン・F・ケネディ元大統領が弟のロバートを司法長官に就任させたのがきっかけで、1967年に「反縁故者法」が制定された。大統領が親類を政府機関で雇用することを禁じる法律だが、無報酬の閣外ポストに就くクシュナーとイバンカには適用されない見込みだ。
イバンカは以前AP通信の取材で、もし父親が大統領になっていなければ、首都ワシントンに移り住むことはなかったと認めていた。実際、トランプ政権発足後、彼女が明らかに影響力を発揮したのは職場での女性の地位に関する政策ぐらい。
イスラム圏の国民の入国を禁止する大統領令や、メキシコとの国境の壁建設、公共サービスの削減や地球温暖化対策の規制撤廃といった問題政策に反対した形跡もない。
「前向きで意義のある価値を付け加えたい。時間が経てば、私がその目標に到達したかどうかを人々は判断できるはずだ」
イバンカはそう言っていたのだが。
グラハム・ランクツリー
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