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中国とアフガン軍が狙うウイグル人掃討作戦の脅威

ニューズウィーク日本版 / 2017年4月4日 11時0分



「一帯一路(陸と海のシルクロード経済圏構想)」を掲げて旧ソ連圏に触手を伸ばす中国をロシアは快く思っていない。だが、同様にチェチェン独立派の挑戦を受けている立場から、今のところは黙認しているようだ。

トランプ米政権も中国による南シナ海の軍事要塞化を批判しつつ、アフガニスタンでのプレゼンス増大には口を閉ざしたまま。中国はこれらを好機と捉えている。

なぜこうしたアフガニスタンでの中国軍の活動にモンゴルは敏感なのだろうか。モンゴルはソ連の崩壊後、米ロ双方を重視する外交を展開。米軍がイラクを占領してから国連PKOに軍を派遣し、アフガニスタンにも少数のモンゴル軍が長く駐留した。

【参考記事】中国の「テロとの戦い」は国際社会の支持を得るか

モンゴル軍は遊牧民特有の「動物的本能」からテロに備える能力が高く評価され、国連平和維持軍で指揮官クラスに任命されることが多い、とモンゴル政府は自慢する。

PKO参加は単なるアメリカから援助を獲得する戦略だけでない。13世紀にモンゴル帝国軍が現代のイラクとアフガニスタンをも支配した栄光の歴史に思いをはせるという、素朴なナショナリズムも満足させている。

そんな歴史を持つモンゴルだからこそ、ユーラシアでの中国の膨張に危機感を抱く。特に西域と古来呼ばれた新疆は、モンゴル高原から西方に抜ける要衝だ。かつて中国の漢王朝は西域を占拠することで、モンゴル高原にいた遊牧民・匈奴を孤立させて封じ込めた。いま中国のアフガニスタン進出がモンゴルを震撼させるのも、そうした地政学的背景がある。

[2017.4. 4号掲載]
楊海英(本誌コラムニスト)


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