シリアの子供たちは、何度化学兵器で殺されるのか
ニューズウィーク日本版 / 2017年4月6日 16時20分
<シリアの反政府勢力の支配地域で、化学兵器が使用された疑いが強まっている。国際社会は、今度こそアサド政権の暴挙を止めることができるのか>
シリアでまた、民間人に化学兵器が使われた疑いが濃厚になっている。
4月4日、「大きな音がして、家の外に出てみたら毒ガスに襲われた」と、生き残った住民はテレビに語った。
死者はこれまでに70人、数百人が手当てを受けている。多くの子供が犠牲になった。
シリア北西部イドリブ県は、アサド政権と6年間にわたる内戦を続けている反政府勢力の支配地域。欧米各国はすぐにアサド政権の仕業だと非難したが、アサド政権は反政府勢力を非難している。シリアを支持してきたロシアも、反政府勢力の武器庫をシリア軍が空爆したところ、その中に化学兵器が隠されていた、と主張している。
【参考記事】アサドの化学兵器使用はオバマのせい──トランプ政権
シリアではこれまでもたびたび化学兵器が使用されてきた。2013年8月には、首都のダマスカス郊外でサリンを使った攻撃があり、数百人の民間人が死んだ。シリアはこのとき化学兵器をすべて破棄したはずだったが、アサド政権が今まで隠し持っていた可能性がある。
アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は国連安保理の緊急会合で、幼児が横たわる写真を掲げて「この写真から目を背けることはできない」と語り、アメリカ単独での軍事行動も辞さない決意を示した。ドナルド・トランプ米大統領は、アサド政権が「いくつもの一線」を越えたと非難している。
だが2013年以前に、アサド政権が化学兵器を使用して「レッドライン(最後の一線)」を越えたら軍事介入をする、と警告していたバラク・オバマ前政権も結局、何もしなかった。その後も化学兵器や通常兵器による人殺しは続いている。今度は何かが変わる、という保障はない。
ソーシャルメディアで配信された画像。攻撃を受けて多くの住民が横たわっている Social Media Website / REUTERS TV
ソーシャルメディアで配信された画像。被害を受けた住民には子供も含まれている Social Media News / Reuters TV
国連安保理の緊急会合で犠牲者の写真を掲げるニッキー・ヘイリー米国連大使 Shannon Stapleton-REUTERS
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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