フランス大統領選決選投票、ルペンは「手ごわく危険な対抗馬」
ニューズウィーク日本版 / 2017年4月24日 18時43分
<フランス大統領選で決選投票に進んだのは中道のマクロンと極右のルペン。第1回投票で敗退した2大政党はマクロン支持を表明したが、ルペンの支持者と同じく未来に恐怖を感じて極左のメランションに投票した支持者は誰につくのか>
驚くべきことに、今回は世論調査が当たった。
日曜にフランス大統領選の第1回投票が実施され、投資銀行出身で親EU、左右の支持者を集めて中道の政治運動「前進!」を立ち上げたエマニュエル・マクロン前経済相(39)と、極右政党・国民戦線の創設者である父親を除名して党首の座に就いたポピュリスト政治家、マリーヌ・ルペン(48)の両者が、決選投票に進出する見通しになった。
日曜夕方の時点における仏内務省の推計(開票率96%)によると、ルペンの得票率は21.4%、マクロンは23.9%だった。ほぼ事前の予想通りだったが、右派と左派の2大政党は有権者にはっきりと拒絶された格好だ。敗北を認めた中道右派の最大野党・共和党と中道左派の与党・社会党の両候補者は、相次いでマクロン支持を表明した。
【参考記事】仏大統領選、中道マクロンの「右でも左でもない」苦悩
仏イプソスが公表した世論調査によると、決選投票に進んだ場合のマクロンの勝率は62%で、ルペンの38%を大きくリードしている。
対照的な2人
昨年のイギリスのEU離脱をめぐる国民投票や、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプが接戦を演じたアメリカの大統領選で浮き彫りになった分断を再現するかのように、今年の仏大統領候補は単なる党派の違いではなく、対立する世界観を互いにぶつけ合う選挙戦だった。
【参考記事】大統領選挙に見るフランス政治のパラダイムシフト
ルペンはEU離脱と保護主義を掲げ、つい先日も第二次大戦中にユダヤ人を一斉検挙したフランスに国家としての責任はないとする持論を展開して物議を醸した。一方のマクロンはEUを擁護する立場で、フランスはもっと世界とつながるべきだと考える。アンゲラ・メルケル独首相の側近であるペーター・アルトマイヤー独首相府長官は、「フランスとヨーロッパは共に勝利できる」とツイッターに投稿し、マクロンの決選投票進出を歓迎した。
「未来に自信をもち、楽観的で、オープンな経済を望むフランス国民がいる反面、未来を怖れ、将来安泰だった古き良き時代を懐かしむ人々もいる」と米コロンビア大学のアレッシア・ルフェビュール准教授(フランス政治)は指摘する。
この記事に関連するニュース
-
最年少→最高齢に交代、仏首相「想定外」人事の背景 73歳のタフネゴシエーター、バルニエ氏の素顔
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 10時0分
-
マクロン大統領、新首相にバルニエ氏を任命(フランス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月9日 13時15分
-
フランス全土でデモ、マクロン氏の首相選出に抗議
ロイター / 2024年9月8日 14時50分
-
仏大統領、左派連合からの首相指名を排除 政治空白続く
ロイター / 2024年8月27日 9時3分
-
堀潤「世界の平和と安定には、中道的なものを構築することが大事」 欧州で台頭する“極”を警戒
ananweb / 2024年8月25日 21時30分
ランキング
-
1中国メディア、深圳男児殺害犯は「反社会分子」で「愛国」とは無関係強調 政府批判警戒か
産経ニュース / 2024年9月21日 17時47分
-
2男児刺殺、靖国落書き…相次ぐ「日本」標的事件 投稿サイトには「日本人学校にスパイ」
産経ニュース / 2024年9月21日 15時0分
-
3機内食からネズミ、スカンジナビア航空機が緊急着陸
AFPBB News / 2024年9月21日 12時0分
-
4ハリス氏、中絶禁止を進める共和党を非難…「トランプ氏が女性の自由を奪おうとしている」
読売新聞 / 2024年9月21日 20時36分
-
5レバノン首都空爆、ヒズボラ幹部殺害=イスラエル、攻撃継続の構え
時事通信 / 2024年9月21日 23時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください