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レノボもアリババも「毛沢東の戦略」で成功した

ニューズウィーク日本版 / 2017年4月26日 18時35分

こうした中国企業の経営戦略やエピソード、そして創業経営者の生い立ちや人となりをまとめ、筆者はこのたび『現代中国経営者列伝』(星海社新書)を執筆した。列伝、すなわち経営者たちの伝記集というスタイルで、8人の企業家を取り上げた。その顔ぶれは以下の通り。

レノボ(PC)の柳傳志
ハイアール(家電)の張瑞敏
ワハハ(飲料)の宗慶後
ファーウェイ(通信機器)の任正非
ワンダ(不動産、小売、映画、スポーツ)の王健林
アリババ(EC)のジャック・マー
ヨーク(動画配信)の古永鏘
シャオミ(スマートフォン)の雷軍

加えて数人の新世代の企業家たちを紹介した。



いまだに年7%の高成長、今こそ中国経済を知るべき時代

なぜ中国企業家の伝記集という珍しい本を書こうと思ったのか。一つには日本の10倍の人口を擁し、また爆発的なペースで成長を続けてきた中国には個性豊かな創業経営者がごろごろいることだ。読み物としても十分に面白い人物の宝庫なのだ。

そしてたんに面白いだけではなく、今こそ中国経済について知るべき時代だと考えている。中国は成長率がやや鈍化したとはいえ、いまだに年7%近い高成長を続けている。巨大な経済力を背景に中国企業が日本に乗り込む事例も増えてきた。今ですら私たちは中国製品に囲まれて暮らしているが、今後はさらに中国との付き合いが増えていくだろう。

【参考記事】中国河北省の新特区は何をもたらすか(特大級のプチバブル以外に...)

日本側にも中国企業と付き合う時の戸惑いがあるが、一方の中国企業にも日本社会にどう対応すればいいのか手探りの部分が多い。先日、ある中国人経営者に取材したところ、「日本は先進国だから会社経営もきっちりしていると思ったんですが、口頭で契約を決めることも多いし、分からないことだらけです」と嘆いていた。

こうした状況において、中国経済や企業の雰囲気や流儀を理解することはビジネスパーソンの武器になる。

『現代中国経営者列伝』は伝記集というスタイルながら、創業年代順に章を並べ中国経済のトピックについても適宜解説することで、通読すると改革開放以来の中国経済の歩みが透けてみえるつくりになっている。中国経済に関する入門書としても読んでいただければ、これに勝る喜びはない。


『現代中国経営者列伝』
 高口康太 著
 星海社新書


[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝 』(星海社新書)。

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高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)


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