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習近平の顔に泥!--北朝鮮ミサイル、どの国への挑戦なのか?

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月15日 11時55分



これまでのミサイル発射に関しては、それぞれ北朝鮮が抗議を示したいであろう相手あるいは現象を見つけ出すことができた。

しかし今回は全く見当たらない。

そのことから逆に、金正恩という人物がいかなる考えというか、心理状態を有した人物であるかを分析することができる。

彼はただ、「自分は譲歩したわけではないからね」という強がりを、いよいよ譲歩を実行するしかない状況に来て見せただけではないのだろうか?

そしてついでに対話のテーブルで北朝鮮にとっての条件を有利に持っていこうとした。

つまり、核・ミサイル開発を加速させて、テーブルに着いたときには相手が北朝鮮を「核保有国」と認めざるを得ないところにまで漕ぎ着けようという魂胆だ。

しかしこのタイミングで実行したということは、これによって対話路線は無くなったと北朝鮮は思い知るべきだろう。

中国に残る手段は

習近平の判断の甘さというか、登りつめた驕りというか、あまりに一帯一路国際サミットに意気込んでいたが故の判断ミスと位置付けるしかないだろう。

今般のサミット参加は、中国が北朝鮮に与えた最後のチャンスになるだろうと考えたい。

習近平の怒りたるや、尋常ではないにちがいない。

サミット閉幕後に爆発するかもしれないが、もしここで北朝鮮に見切りをつけなかったとしたら、中国の国際社会における立場はなくなる。29ヵ国の首脳や日米を含む130ヵ国の代表団を集めて開催した責任上、習近平はこのケリを付けなければならない。

残されている手段は国境封鎖、断油、そして中朝軍事同盟の破棄だ。

第三次世界大戦に発展しない範囲内で、これまで見せつけてきたカードを、実際に切る以外にないところに、今度は中国が追い詰められた。

もう、「緩衝地帯だ」などと、言っている場合ではない。隣国に米軍が来ても仕方がないと覚悟を決めて、見切りをつけるべきだ。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)



※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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