【写真特集】開発の激流がのみ込むモザンビークの未来
ニューズウィーク日本版 / 2017年5月23日 18時30分
<内戦の苦しみから解放されて資源開発が急成長するモザンビークだが、その陰には生活の激変を迫られる住民の姿があった>
アフリカ南部のモザンビークは、今後10年間で最も高い経済成長が期待される国の1つ。92年まで長い内戦に苦しめられた国の成長を担うのは、石炭や天然ガスなど豊富な天然資源だ。
内戦当時にはまだ発見されていなかった資源は現在、日本を含む外国企業から多額の投資を呼び込んでいる。ブラジルの資源開発大手ヴァーレは、保有する炭鉱を将来的に年間採掘量2200万トンという世界最大級の規模へ拡大させる計画を描く。
写真家のカディル・ファン・ロホイゼンは、爆発的な成長を見せる石炭採掘の現場を写真に収めた。そこから見えてくるのは急激に開発されていく国の姿と、その一方で生活の激変を迫られる住民たちの姿だ。
【参考記事】<写真特集>軍事用カメラが捉えた難民のむき出しの生命
周囲をフェンスで囲まれた広大な炭鉱、採掘された石炭を運ぶために新設された鉄道、海外に資源を輸出するための港湾施設。こうした開発の激流に押し流されるように、周辺の住民たちは立ち退きを余儀なくされる。
世界的な化石燃料離れと資源価格の低迷が続くなかでも、その質の高さから需要の拡大が見込まれるモザンビークの資源。その存在は、この国と国民をどこに導くのだろうか。
炭鉱に立ち入れないよう周囲を囲むフェンスを敷設する作業員
石炭を運ぶ鉄道の敷設のため移住させられた人々の新たな住居
炭鉱のすぐそばで暮らす住民は子供の健康や農作物への影響を心配する
かつて暮らしていた土地を通る鉄道の上の橋を渡って自分の農地に向かう農家の人々
テテ州からナカラ港へ延びる約900キロメートルのナカラ鉄道
13年に移住した女性は先祖が眠る元の土地を懐かしむと同時に、水場や街へのアクセスが悪くなった現在の住まいへの不満を漏らす
かつてホエールウオッチングの拠点として知られたナカラ港近くの砂浜で遊ぶ地元の子供たち
インド洋に面するナカラ港に新設された石炭輸出ターミナル
撮影:カディル・ファン・ロホイゼン
1963年オランダ生まれ。88年からフォトジャーナリストとして、世界の社会問題や紛争を取材する。近著に1年かけてアメリカ大陸15カ国の移民を追った作品集『Vía PanAm』がある。
Photographs by Kadir van Lohuizen-Noor
[2016年10月18日号掲載]
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Photographs by Kadir Van Lohuizen
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