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最凶な露フーリガン対策でロシアが用意した切り札とは...?

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月26日 18時30分

BBCは今年2月、ロシアのフーリガンにスポットライトを当てた1時間番組『Russia's Hooligan Army(ロシアのフーリガン軍団)』を放送し、イングランド・サポーターを不安にさせた。番組によると、欧州選手権でのロシアのフーリガンとの衝突で負傷したイングランド・ファンは100人以上、昏睡状態になった人も2人いたという。このため、W杯でロシアまで応援に行くのを躊躇するイングランド・ファンも少なくないだろう。そこで、イングランド・ファンを守るために、ロシア側は切り札「AlanTim(アランティム)」を用意したらしい。



デイリーメールによると、アランティムは、モスクワ工科大学(MTI)の研究者たちが開発したロボットだ。公開されたビデオ・メッセージでアランティムは、「ロシア訪問に際して、多くのイングランド・ファンが安全性について疑いを抱いていると、インターネットで読みました」とまるで英国紳士のようなアクセントの英語で話し、「私が自分の身を呈してあなたを守ります」と約束している。開発した科学者によると、アランティムは人間の感情を読み取れ、攻撃的な行動を察知し、「外交的な対話」で問題が解決しないと判断すると、警察に通報してくれるらしい。

英国紳士ロボット、イングランド・ファンの心を掴むか?

しかしどこかで見たことのある風貌だ。本サイトで2016年9月に伝えた、ロシアで逮捕された人型ロボット「プロモボット」にそっくりだ。このプロモボット、政治集会で有権者たちの意見を聞いて回って警察に逮捕されたり、公道のど真ん中でバッテリーが切れて立ち往生したり、なかなか迷惑な存在だった。

【参考記事】失敗を笑って失敗に学べ、スウェーデンに失敗博物館が登場

調べていくと、「プロモボット」とは同名の企業が所有する「プロモーション活動を行うロボット」の総称で、アランティムはその1人(?)らしいことが分かった。2015年あたりから、モスクワ・モーターショーで参加者とコミュニケーションをしたり、モスクワで開催されたテコンドーの大会で賞を授与する役目を務めたり、とイベントなどで活躍している。アランティムという英国風の名前は、「アラン・チューリング」から命名されたらしい。

ロボット工学の最新情報を発信するサイト「Robophil.com」がプロモボット社にインタビューした動画によると、2015年の時点では、プロモボットは少ししか英語を話せないとのことだった。しかし2年の時を経て、アランティムは英語をマスターし、イングランド・ファンを守るという新たな使命を与えられたということだろうか。

英国紳士風な穏やかなしゃべりとは裏腹に、アランティムの動きはぎこちなく、本当に喧嘩の仲裁に入ったり警察に通報したりできるのか、いささか疑問ではある。フーリガンの乱闘騒ぎの真っ最中にバッテリー切れを起こすことだけは、避けてほしいところだ。



松丸さとみ


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