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トランプがドゥテルテに明かした、北朝鮮核ミサイル開発への本音

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月30日 14時30分

これを受けて、トランプはミサイル開発に言及する。「彼は爆薬を持っていても、それを発射する装置は持っていない。ロケットはすべて爆発している。素晴らしい知らせだよ」

トランプは続ける。「ただ最終的には発射装置を手にすることになるだろう」

米政府は2014年までに北朝鮮の核開発は止められないと認識し、その後はミサイル開発を阻止しようとしてきたが、電話会談のトランプ発言からはミサイル開発ももう既定路線にあり、米政府も止められないところに来ていると考えられる。北朝鮮が発射装置を手に入れると認めているからだ。

米政府はサイバー攻撃で北朝鮮のミサイル発射を妨害しているとの話も出ている。もちろんすべての失敗がサイバー攻撃によるものではないだろうが、ミサイル開発を遅らせる妨害作戦に乗り出している(いた)ことは十分に考えられる。

それでも、もう北朝鮮のミサイル開発は止められないところにまで来ているということなのだろう。トランプがいちいちミサイル発射にツイッターで反応しないことからも、それは分かる。

【参考記事】空虚な言葉だけが飛び交った、自覚なきトランプの中東歴訪

そして中国に期待していると、トランプは語る。「中国が問題を解決してくれることを望んでいる。彼ら(北朝鮮)は多くのものを中国から入手しているので、中国は解決する手段を持っている。中国も(北朝鮮から)電話を受けない、というようなことをしている。ただ中国がやらないなら、われわれがやるまでだ」

そしてこうも述べている。「核兵器を持ったイカれた奴に、あんなふうに好き勝手させるわけにはいかない。われわれは、北朝鮮の20倍の火力を持っている。使いたくはないが......」

ドゥテルテは最後に「ASEAN(東南アジア諸国連合)のメンバーに会談内容を伝える」と述べ、こう確認する。「私たちは皆、平和を望んでいて、そこに秘密は何もない、ということで」。これに「GOOD」と返答したトランプだが、これが北朝鮮に対して武力行使は考えていないという意味なのかどうかは分からない。

とにかく日本をはじめとする北朝鮮の周辺国とは違って、トランプにあまり切迫した危機感がないことは確かなようだ。

山田敏弘(ジャーナリスト)


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