アイシャを覚えていますか? 金正男暗殺実行犯のインドネシア人女性の運命は
ニューズウィーク日本版 / 2017年6月5日 14時30分
今後始まる裁判では2女性被告の事件への関与と動機などが主に争点となるが、北朝鮮関係者が法廷に不在では暗殺事件の政治的背景や犯行グループの素性、VXガスの入手経路などが明らかにされることはほとんど不可能といえる。
判決次第では再びインドネシアでアイシャ被告に関する報道が盛り上がることも予想されるものの、それがマレーシアの司法手続きに影響を与えることは難しいだろう。
こうした事態は、暗殺事件の「黒幕」とされる北朝鮮、舞台となったマレーシア、影響力を行使したという中国、いずれにとってもシナリオ通りの都合のいい展開と結末といえるだろう。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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大塚智彦(PanAsiaNews)
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