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放言止まらないトランプが歩む自滅への道 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月13日 11時30分

つまり、企業経営者としても政治家としても「部下には忠誠心を求める」のがトランプ式だというわけで、「誰にでも求めるのだから、司法妨害のような深刻なものではない」と言いたかったのかもしれません。

ですが、「父は誰にでも忠誠心を求める」という息子の証言は、事実関係としては「トランプはコミー前長官にも忠誠心を求めた」という可能性が濃いことを示唆しており、下手をすれば大統領に不利になるわけです。

さらに大統領は「自分だって議会へ行って宣誓証言したっていいんだ」と、「100%だ」などと自信満々な感じで答えています。これも、かなり危ない物言いであり、いつもの調子で「もう一つの真実」だなどと胸を張っても、法的に虚偽ということになれば、それは偽証罪になってしまう可能性があるからです。

【参考記事】米政権幹部に襲いかかる、トランプの執拗な怒りの病

仮に言葉の綾が回り回って取り返しがつかなくなり、結果的に「司法妨害」や「偽証」が濃厚で証拠もあるということになると、本当に弾劾裁判が始まってしまいます。

もう一つ話題になっているのは、コミー証言にあった「大統領との会話」が仮に録音されていたらどうか、という問題です。そこで大統領の発言が虚偽だということが判明すれば、ダメージは大きくなります。また、仮に政権の安定基盤が一定のレベルまで揺らぐようになれば、側近からの爆弾発言なども出てくる可能性があります。

特に職業政治家とか、司法関係者の中には、自分自身のプロ意識と照らし合わせて、「自分のキャリアを犠牲にしてまで、沈みゆく政権に忠誠を示す必要はない」と考える人物が出てきても不思議ではありません。

合衆国大統領がここまで自分の地位が揺らいでいるにもかかわらず、まったく慎重さに欠ける発言を繰り返している。つまりは質の良いリーガル・サポートを受けていない可能性が高い、というのは、国家として明らかな異常事態と言えるでしょう。

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