米国防長官にアドバイザーを送り込む、謎のシリコンバレー企業
ニューズウィーク日本版 / 2017年6月13日 15時15分
パランティアによれば、同社の昨年のビジネスは20億ドル規模で、このうち米政府機関との契約は12億ドルに上る。
さらに興味深いのが、その創業者だ。パランティアは2004年にCIAのベンチャー支援を受けて5人で立ち上げられた企業だが、そのうちの1人が「あの」ピーター・ティールだ。ティールといえば、ペイパルの共同創業者であり、フェイスブックやリンクトインなど大手SNSに初期から投資をしてきたことでも知られるシリコンバレーの大物投資家だ。日本でもベストセラーになった『ゼロ・トゥ・ワン』の著書としても知られている。
【参考記事】中国式ネット規制強化で企業情報がダダ漏れの予感
現在もフェイスブックの取締役であるティールの総資産は27億ドルとも言われる。また自分の悪口や性的趣向を暴露したゴシップ系の米ウェブメディアを相手に、多額の訴訟費を投じて裁判を行い、最終的に破産させたこともある。
そんなティールは、選挙戦から共和党のドナルド・トランプ候補に125万ドルを寄付するなど支援を行い、トランプが大統領になった現在もIT関連のアドバイザーを務めている。そしてトランプとIT企業関係者を繋げたりしながら、トランプからの信頼を得ている。トランプが大統領選に勝利した後、シリコンバレーのIT企業幹部が揃ってトランプと会談したが、それを取り持ったのがティールだった。
そんな背景もあって、ティールの会社であるプランティアから国防総省に関係者が入り込でいるようだ。
ただティールがアドバイザーの役割を越えて自分の企業の関係者を軍トップ周辺に送り込んでいる事実は、今後、トランプ政権の不適切な人事として問題になる可能性がある。
山田敏弘(ジャーナリスト)
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