アメリカと組むサウジ、血塗られたテロ犠牲の歴史
ニューズウィーク日本版 / 2017年6月26日 18時30分
同年11月にリヤド西部の外国人居住区で起きた自爆テロは、犠牲者の大半が地元住人で、17人が死亡した。
【参考記事】国交断絶、小国カタールがここまで目の敵にされる真の理由
一連の爆弾テロは、米軍の駐留に反対するアルカイダのメンバーの仕業とされた。同年4月、米政府はサウジ駐留米軍の規模を大幅に縮小するとすでに発表していた。
翌年テロ攻撃はエスカレートし、死者が相次いだ。リヤドにあるサウジの治安当局の本部ビルや、西部ヤンブーの石油化学工場、東部コバールの石油関連企業が入る外国人居住区、西部ジッダにある米総領事館などが、アルカイダの攻撃対象になった。
2004年にリヤドで起きた銃撃事件では、アメリカ人2人と英BBCのカメラマンが殺害された。アルカイダはアメリカ人工学者のポール・マーシャル・ジョンソン・ジュニアを誘拐し、斬首した遺体の写真を公開した。
サウジの治安当局が地元出身のアルカイダ幹部アブドル・アジズ・マクリンを殺害してから、テロ攻撃は一時的に下火になった。サウジ政府はアルカイダのメンバーに対して、1カ月以内に投降すれば恩赦を実施すると発表した。
2007年は、テロを計画した数百人の容疑者が逮捕された。その中には、飛行機を使ったテロ攻撃を実行するパイロットとして訓練を受けた者もいた。2009年にアルカイダによるテロ犯罪に関する裁判がサウジアラビアで初めて行われ、330人が被告人になった。そのうち死刑判決を受けたのはたった1人で、サウジ当局は最終的に何人が有罪になったのかを明らかにしなかった。
ISISの参加者は2500人
同年に内部告発サイト「ウィキリークス」によって米政府の外交公電が流出し、アメリカがサウジアラビアのことを、世界中のイスラム教スンニ派過激派組織の最も重要な資金供給源とみなしていたことが明らかになった。
その後、ISISの台頭でサウジアラビアにテロの脅威が再来する。約2500人のサウジ国民がISISに参加しており、外国人戦闘員の出身国で2番目に多い。
サウジ政府は2014年にISISをテロ組織に指定し、国際的なISIS掃討作戦に加わった。
ISISはサウジアラビアで相次いでテロ攻撃を実行した。2015年5月にサウジ東部の州にあるイスラム教シーア派のモスクで自爆テロがあり、25人が死亡した。2016年にも西部メディナなど3都市で連続自爆テロが発生した。
先月トランプは外遊先のサウジアラビアで、有力な中東諸国がイスラム過激派との戦いを強めるよう呼び掛けた。既に多大な犠牲は支払っている。火に油を注ぐことにならないか。
(翻訳:河原里香)
トム・ポーター
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