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ベネズエラ最高裁をヘリで攻撃したのは、警官兼アクションスターだった

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月29日 19時41分

「本日、我々が空からの作戦を行った目的はただ一つ。主権者たる国民に権力を取り戻し、憲法に基づく秩序を回復するためだ」とペレスは言い、マドゥロの退陣と総選挙の実施を求めた。

ぺレスは2012年6月からインスタグラムを始めており、フォロワーは20万人を超える。ベネズエラのことを「私の国、私の情熱」と呼ぶペレスは、ベネズエラの科学刑事犯罪捜査機関(CICPC)における特殊行動部隊(BAE)の警察部隊に所属していた。



ところがペレスには俳優という副業もありで、2015年11月に公開された『Muerte Suspendida(Suspended Death、延命)』というベネズエラのアクション映画に出演している。ペレスはインスタグラムに映画撮影時の写真を投稿し、ベネズエラのジェームズ・ボンドと呼ばれている。

ヘリコプターを盗む前、ペレスはインスタグラムに1枚の画像を投稿した。描かれていたのは歴史上の様々な時代の兵士たちの前に、イエス・キリストが現れる場面だ。まるで、戦争から国を救うのが自分の使命だと言っているようだ。

最近の別の投稿では、ベネズエラが直面する社会や政治、経済の危機を憂い、互いに気を配っていこう、特に高齢者や病人や若者を気に掛けようと言って人々を励ましている。

ペレスの消息は不明だ。

マドゥロ「武力でつぶす」

ベネズエラの国民は3カ月前からマドゥロ支配に抗議するデモを続けており、総選挙の実施と全ての政治犯の釈放を要求している。デモ参加者と治安部隊の間で起きた激しい衝突により、少なくとも75人が死亡し、そのほとんどが未成年者だった。治安部隊はデモ参加者に向けて発砲したことで批判されている。

【参考記事】「国家崩壊」寸前、ベネズエラ国民を苦しめる社会主義の失敗
【参考記事】経済危機のベネズエラで大規模な反政府デモ、17歳死亡

マドゥロは27日、自分の支持者や閣僚たちに向けて、1998年に就任したウゴ・チャベス前大統領が主導し、有産階級に対する貧困層の闘争である「ボリバル革命」を死守するため、自分は戦うと言った。

「我々は戦っていく。選挙でできないことを、武力でやる。我々は武力で母国を解放する」とマドゥロは言った。

(翻訳:河原里香)


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