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「お金のために働くな」とファンドマネージャーは言った

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月30日 16時30分

おごるのが一番怖いんですよ。素晴らしい経営者はみなさん謙虚です。つまり、自分を消すということ。これがなかなかできないんだけど、なるべく自分を消していこうと決めたんです。そして、いい会社を選んで投資をして応援する、この枠組みを作ることに徹するんです。

枠組みさえ残れば私に何かあっても誰かが引き継げます。それに、いい会社は最終的に社会が決めるものだし、人はそれを残したくなる。だから枠組みを残せば絶対に存続できるんですよね。投資先が間違っていたら変えればいいんです。枠組み自体に問題があるわけじゃない。100年続くものを作るためには枠組みを残すことしかないと思っています。

そういう意味で、今私が力を入れているのは教育です。自分の後継者をつくることにもなるし、いい会社をふやすことにもつながるからです。

2016年3月まで横浜国立大学で社会的起業論の講義を受け持って、社会起業家の育成に取り組みました。それは投資先をつくるためでもあるし、社会的企業でもある鎌倉投信の社員にいずれなってくれるかもしれない人を育てるためでもあります。一人ひとりの力で社会をよくしていこうという考えは青臭いかもしれません。でも、そういう価値観を若者の中に醸成していかなければいけないと思っています。

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「いい会社」の隣に「いいNPO」を選定する

鎌倉投信の今後の展開としては2つの方向性を考えています。

1つは「いい会社」と同じような「いいNPO」を選定することです。鎌倉投信を利用してくださる投資家の6割は積み立てなので、長期的に残高が増えていくと見込まれます。そこで出た鎌倉投信の利益は、創業時から決めている通り一定割合を寄付するわけで、その寄付先を決める必要があるからです。このNPOはちゃんとしているから寄付に値しますと、しっかり鎌倉投信の株主や「結い 2101」の受益者に説明できるような準備を始めるということです。

その時に見る視点は企業とは逆で、財務面を徹底的に分析します。というのも社会性と事業性を比べたとき、NPOは事業性がぜい弱だからです。無駄使いしているNPOは少なくないので、本当に残さないといけないNPOに対しては、持続可能な仕組みになっているか、組織力はあるのか、経営力はあるかといった観点で徹底的に財務分析していきます。企業の筋肉質な状態をNPOに求めるわけですね。

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