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バチカンNo.3の「聖人」、性的虐待で起訴 

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月30日 17時30分

<カトリック教会の深い闇はどこまで続くのか。来月行われる法廷証言に注目が集まる>

バチカン(ローマ法王庁)で3番目の地位にあるジョージ・ペル枢機卿は29日、オーストラリアにおける複数の性犯罪容疑でビクトリア州警察に起訴された。ペルはオーストラリアのカトリック教会最高指導者とローマ法王庁の財務長官を兼任している。

ローマ法王の顧問も務めており、カトリック教会の性犯罪スキャンダルの歴史のなかでも最高位の人物。シドニー・モーニング・ヘラルド紙によれば、レイプ1件を含む3件の性的暴行罪の容疑がかかっている。

ペルは1941年生まれでオーストラリア・ビクトリア州出身の76歳。1966年に司祭に任命されるまで、ローマで学んだ。2003年に当時の法王ヨハネ・パウロ2世によって、法王を補佐する枢機卿団のメンバーに選ばれた。

賄賂で口封じの疑いも

ペルが警察の捜査対象になったことが初めて明るみに出たのは昨年2月。カトリック教会が聖職者による児童の性的虐待を隠蔽したと非難されたときには、教会を代表して「大きな間違い」を認めていたが、自分に疑いがかかると態度は一変。オーストラリア教会の聖職者の性犯罪を調べている王立委員会で3度証言したが、一貫して潔白を主張している。

オーストラリア放送協会(ABC)によると、王立委員会は1970年代に同州バララッド市で起きた事件について調査している。教会は同地区の神学校に勤務していた小児性愛者の司祭の行為について報告せずに隠蔽。さらに被害者に口封じの賄賂を渡したと指摘されている。このときペルも同じ場所に住んでいた。

【参考記事】教会を悩ますゲイ聖職者の「乱れた性」
【参考記事】カトリック教会に盾突いた記者魂



バチカンは擁護する姿勢

先月、ABCの記者ルイズ・ミリガンによって刊行された『The Rise and Fall of George Pell』には、この事件とペルの関係について細かな考察と主張が展開されている。バチカンはこの本を「誹謗・中傷の手習」と呼んでいる。

Do yourself a favour & read The Cardinal by @Milliganreports pic.twitter.com/XIpQqGL1zU— Costin Heaps. (@DianneCostin) 2017年6月29日

(ルイズ・ミリガンの著書『The Rise and Fall of George Pell』)


29日にバチカンで記者会見したペルは改めて容疑を強硬に否定。バチカンは声明を出し、起訴について「遺憾」としながら、ペルを擁護する姿勢を示した。ペルはすぐにオーストラリアに戻る予定で、法王庁は「ペル枢機卿は出廷を待ち望んでいる。疑いを晴らすと話している」と説明した。

7月18日にメルボルン治安判事裁判所に出廷するペル。「聖人」の口からは「まこと」が語られるのだろうか。

【参考記事】バチカンに渦巻くマネロン疑惑
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ジェイソン・ ルミエール

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