世界初となる民間の宇宙飛行士訓練センターが英国で誕生へ
ニューズウィーク日本版 / 2017年7月6日 17時5分
<イギリスで世界初となる民間の宇宙飛行士訓練センターの建設がはじまった。イングランド東部ベッドフォード州に建設される「ブルー・アビス」は、宇宙と深海に特化した研究開発施設および訓練センターだ>
一般の人々でも宇宙に行ける時代が、いよいよ到来しようとしている。米国の宇宙開発企業『スペースX』では、2018年に民間人2名を自社の有人飛行船『クルー・ドラゴン』に乗せて月を往復する計画を明らかにし、世界中から注目を集めている。
人間が宇宙空間で安全に生活するためには様々な訓練が必要だ。従来、宇宙飛行士訓練が受けられる専門施設は、米国のジョンソン宇宙センターやロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターなど、国家の宇宙機関が運営するものに限られていたが、ようやく、英国で、世界初となる民間の宇宙飛行士訓練センターの建設がはじまった。
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宇宙と深海に特化した研究開発施設と訓練センター
1億2,000万ポンド(約175億円)を投じ、イングランド東部ベッドフォード州英国空軍跡地に建設される「ブルー・アビス」は、宇宙と深海に特化した研究開発施設および訓練センターだ。水深50メートルの巨大プールのほか、微小重力環境や高G環境をはじめとする宇宙飛行のための訓練設備、宇宙飛行士やトップアスリート向けのパフォーマンス開発施設を設置。会議ホールやトレーニングルーム、全120室の宿泊施設も合わせて建設される計画で、2019年の開業を目指している。
Expand your horizons. Dive into the future. With Blue Abyss.
「ブルー・アビス」は、極限環境下での研究開発を実践できる総合的な施設として、今後需要の増加が見込まれる有人宇宙飛行から、海洋での石油・天然ガスの生産活動まで、幅広い分野にわたって様々な活動をサポートしようとしている点が特徴だ。
とりわけ、世界最大級を誇るプールは、ダイバーや海洋探検家のための訓練の場だけでなく、海底や宇宙空間で使用するロボットや機材のテストの場としても利用されることを想定している。
Dive into the Blue Abyss (Marine and Space Research Facility)
英国政府は、世界の宇宙産業におけるシェア拡大を目標
英国政府は、世界の宇宙産業におけるシェアを2009年時点の6%から2030年までに10%まで拡大させることを目標に掲げ、2017年6月には、英国の宇宙産業の成長を推進する『宇宙産業法案』を議会の上院に提出している。英国政府のこのような動きをふまえ、「ブルー・アビス」では、英国内外の研究機関や一流企業とも積極的に連携し、英国の宇宙産業のさらなる発展にも寄与していきたい方針だ。
松岡由希子
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