イギリスはなぜ香港を見捨てたのか
ニューズウィーク日本版 / 2017年7月7日 20時26分
イギリス統治下の香港には、香港住民の意思を反映させる政治制度がなく、民主主義は存在しなかった。パッテンはそうした状況を正そうとしたが、ビジネス上の重大な関心を優先する地元の大立者や中国政府の頑なな反対にあった。民主主義を経験したことのない一般大衆も、パッテンが目指した議会の民選化に反対した。
【参考記事】なぜ中国は香港独立派「宣誓無効」議員の誘いに乗ったか
香港住民は中国政府に立ち向かってくれる香港総督に感謝していたが、中国政府には強い不信感を抱いていた。立法会を作って選挙を行っても、投票権のある有権者のうち35%しか投票しなかった。
低い投票率で、パッテンが目指した選挙改革は失敗した。パッテンが離任するまでに立法会の権限は縮小され、中国政府は民主化を疎かにしても民衆の反感を買うことはなさそうだ、と自信をつけた。
パッテンは1997年に中国政府から繰り返し中傷されたが(「1000年来の男娼」というのもその1つ)、それ以降、香港のカフェに彼以上に人気がある客は現れていない。
(翻訳:河原里香)
This article first appeared on the History News Network.
トム・クリフォード(アイルランドのジャーナリスト)
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