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モスル奪還作戦、写真で見るISISとの戦いの恐怖

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月18日 19時0分

「カトラが飼っていた鶏20羽を残してきたことを後悔していると言うのを聞いて、つい笑ってしまった。激しい戦闘があって自宅の地下室に隠れていた時でさえ、鶏たちの世話を欠かさなかったという。ISISの支配下でどれほどの恐怖を味わおうと、彼女の人間性は破壊されなかった。『動物にも生きる価値がある』と、カトラは言った」

【参考記事】ISISから奪還間近のモスル、脱出図った住民231人殺害


自分も娘も死にかけて


モスルのISIS支配地域から逃れる父親と幼い娘。恐怖で泣き叫んでいた(2017年3月4日) GORAN TOMASEVIC-REUTERS

<撮影者、ゴラン・トマセビックの言葉>

「父親も腕に抱かれた幼い娘も恐怖で泣き叫びながら、瓦礫が散乱するモスルのワディ・ハジャル地区の通りを突っ切り逃げてきた。この辺りは一瞬にしてISISとイラク軍特殊部隊の戦いの場となり廃墟と化した。この親子や近隣の住民たちはISISの反攻部隊が街に迫り銃弾が飛び交うなか、サンダルや裸足のまま必死で逃げていた。



「避難した住民がイラク軍特殊部隊のもとに到着するなり、男性はシャツを上げろと命じられた。体に爆弾を巻いていないことを確かめるためだ。自爆テロはISISの常套手段で、イラク軍兵士は駆け込んでくる住民を押しとどめようと空に向かって銃を撃ち、アラビア語で怒鳴った。写真の父親は取り乱し半狂乱になっていた。彼は半袖のシャツを着て女の子を抱いていたので、ISISと疑われることなく無事難民キャンプに移送されるはずだ」

【参考記事】ISIS「人間の盾」より恐ろしい?イラク軍によるモスル住民への報復


ドローンの後にはロケット弾が


モスル奪還作戦でISISの拠点に向けてロケット弾を発射するイラク軍(2017年3月11日撮影) THAIER AL-SUDANI-REUTER


<撮影者、サイエル・アル・スダニの言葉>

「攻撃があったのは真夜中、イラク軍がISISからモスルの行政庁舎を奪還しようとしていた時だった。破壊されたモスル美術館の写真を撮っていた時、上空にISISのドローンを見つけた。ロケット弾が飛んでくる恐れがあるため、我々は一斉に地面に伏せた」

「私はその時に手を切り、治療のため皆で車に戻った。イラク軍が私たちには目視できない距離にあるISISの標的を目がけてロケット弾を発射していたので、撮影を再開した。この写真は過酷な戦闘を象徴する力強い1枚になると思った。記者会見とは別世界の本物の戦争を伝えている。現場は100%危険で、写真を送るインターネットもほとんど繋がらない状況だ」

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