米朝舌戦の結末に対して、中国がカードを握ってしまった
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月14日 8時10分
「軍事的解決の準備完了」とツイッターでつぶやきながら、CCTVによれば、トランプは一方では、こんなきれいごとの会話をしているようだ。大勢を決めるカードを、中国が握ってしまったことをトランプは認識したからなのだろうか。
水面下では米朝接触?
もっともトランプは、自分は世界最大の平和主義者だと言っているようだし、8月3日のコラム<ティラーソン米国務長官の「北朝鮮との対話模索」と米朝秘密会談>で書いたように、米朝は相変わらず水面下の接触を続けている。8月11日に、現役の米朝政府当局者がニューヨークの外交ルートを通して対話していると、CCTVは動画まで流して伝えている。もはや水面下ではない。
事実関係を聞かれたトランプは、ノーコメント。ヒットアップする米朝双方の舌戦は、有利な対話へ持っていくための準備運動なのかもしれない。少なくとも、それを主導した者が、今後のパワーバランスを決めていくのは確かだろう。
ドイツのメルケル首相もロシアのラブロフ外相も、「武力衝突に向けてヒートアップすべきでなく、より強く、より賢い者が先に引くべきだ」という主旨のことを言っている。
その通りだ。「誰がより賢いか」によって「誰がより強いか」が決まり、結果、「誰が世界を制覇するか」が決まる。
ただ、8月21日からは又もや米韓合同軍事演習という、新しいフェイズに入る。情勢を見守りたい。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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