ワインを楽しむと脳トレに? 味と香りの分析が脳を活性化
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月18日 11時30分
違いこそがワインを味わう喜び
同インタビューで博士は、2人でワイン1本をシェアするとしたら、2人は90%同じフレーバーを味わうだろうが、10%は異なるだろうと言う。しかしこの10%こそが「ワインを味わう喜びの一部」なのだ。
異なるフレーバーを感じる要素には唾液もある。唾液はワインを薄めると同時にそれと混ざり、その酵素がワインに含まれる微分子を分解し、それが「もともとワインに含まれていたのではない」混合物を生成する。唾液は、年齢、性別、アセトン含有量によって異なってくるが、時間帯や、飲み手が鬱状態にあるかどうかでも変わってくるという。そうなると、飲み手が感じるワインの味がそれぞれ違うのも納得できる。
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また博士は、ほとんどの人は鼻で嗅ぐワインの香りを楽しむが、レトロナーザル(鼻後)と呼ばれる口内の香りには気づいていないと指摘。(ワインの)微分子は同じ受容器細胞に運ばれるが、逆方向からになる。フレーバー決定に関してはこれがとても重要だとする。
結局、これらの様々な要素が重なって、人それぞれの味ができあがるということのようだ。
長らく見過ごされてきた感覚
ロスアンジェルス・レビュー・オブ・ブックスでは、ハーバード大学の歴史家でワイン愛好家を自認するスティーヴン・シェイピン教授が、言語と関わりのある視覚・聴覚に比べ、嗅覚や味覚は「動物的」で、触覚と同様、長いこと劣る感覚とされ、哲学者のみならずワインライターなどからも軽んじられてきたと指摘。本書の着眼点を評価している。
しかし、いくら脳のエクササイズになるといっても、過度の摂取によって健康を概しては元も子もない。NPRのインタビューで「ワインの飲み手の飲み方に間違いがあるか」という質問に、シェパード博士も「一口二口ちびちびと飲んだあとは、ただ流し込んでしまう。もっと必要なことはあるのに」と答えている。
脳に刺激を与えるワインテイスティングも、くれぐれもほどほどに。
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モーゲンスタン陽子
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