バノン抜きのトランプ政権はどこに向かう? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月22日 17時0分
また、21日の「アフガン演説」の直後に、CNNテレビに登場したポール・ライアン下院議長は、演説の中で大統領が「国内の団結」を口にしたことを、シャーロットビルの事件に関する暴言を大統領が「反省している証拠」だというような寛容な解釈をした上で、このアフガン新方針については、全面的に賛成し、支えるとしていました。ただ、その後で「ネオナチ、KKK、白人至上主義者」への支持と受け取れる発言は「全面的に批判する」と断言して大統領に釘を刺すことも忘れていませんでした。
今回の演説から分かることは、バノン更迭をもって大統領は、共和党の中道穏健派路線に「屈服した」と同時に、それでも「コア支持層」の離反を恐れて「NATOに費用負担を」とか「パキスタンには疑念」といった「コワモテ」のキャラは維持する、そんな妥協的な姿勢を取り始めたということです。
一方の共和党主流派としては、極右を擁護した大統領の暴言が、自分たちの支持者の怒りを買っていること、大統領の資質には大きな疑問が付いたことをベースとして、今回の「バノン抜きのトランプ」に対して、「最後のチャンス」を与えているという感覚があるのだと思います。
これで結局のところ大統領の暴言癖や、極端なイデオロギー的判断が改善しなければ、また別の局面が来るのでしょうが、とりあえず今の時点で大統領に辞任を迫ったり、議会共和党が弾劾罷免に流れることは「ない」ということなのでしょう。
そのような折衷主義的な動きをしていく中で、株価や景気の暗転は避けられるのか、大統領の支持率が下げ止まることはあるのか、議会との駆け引き、とりわけ予算を通すための「債務上限問題」などで合意ができるのか、この秋の政局は目が離せません。
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