アフガン撤退から一転、増派へ トランプはなぜ変心したのか
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月22日 19時30分
■米軍駐留に資源を割き続けることで、アメリカが世界的に被る機会損失は幾らか。なぜアメリカがそうした損失を強いられるのか。
残念ながら、トランプがこれらの疑問を熟考することはないだろう。トランプはアフガニスタン戦争の責任を将軍たちに押し付け、アフガニスタンを一度も訪問しないまま今回の決定を下した。一連の言動は、アフガニスタンに対するトランプ自身の関心の低さを物語っている。どれほど優れた政策決定プロセスから生まれた戦略も、大統領が無関心では台無しだ。
ただしトランプがどれほど無関心であろうと、新戦略を発表したからには、これはもうトランプの戦争だ。オバマでも、ジョージ・W・ブッシュ元米大統領でも、マクマスターでもない。トランプは自分の決断が生む成功も失敗も、すべて背負うことになる。
トランプにしてみれば、大統領就任以来、最も恐ろしい心境だろう。先週は米バージニア州のシャーロッツビルで白人至上主義を掲げる団体と反対派が衝突する事件が発生し、その後トランプは人種差別を容認するような発言をして、大統領として道徳的な規範となるべき立場を放棄した。
このタイミングでの新戦略の決定は、新たな意味合いを帯びてくる。果たしてトランプは、アフガニスタンのような危険地域に米軍を増派するという重大な決定で、十分な求心力を持ち得るのだろうか。答えは、じき分かるはずだ。
(翻訳:河原里香)
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ケリー・マグサメン(米国務省元国防次官補代理)
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