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中国に政治改革が必要とされる時

ニューズウィーク日本版 / 2017年8月23日 16時40分



ほかにもアニメやラップなどのポップカルチャーを通じて共産党の政策や思想を広める取り組みが始まった。抗議活動を取り締まるだけという従来の受動的な姿勢から、プロパガンダを広めていく能動的な戦略に転換したのだ。

中国社会が豊かになるにつれ、共産党による「開発独裁」体制を支持する人も増えている。日本に留学している中国人と話しても、かつては独裁に批判的な人ばかりだったが、最近では中国政府に理解を示す人が増えつつある。日本に限らず世界各国には反中国政府の華人団体が存在するが、高齢化が進んでいるのが現状だ。

政治改革を求める声が急速に先細っていくなかで、劉の死は象徴的だ。80年代から細々とはいえ続いてきた流れが、ここで完全に途絶えることを示している。

【参考記事】中国共産党のキングメーカー、貴州コネクションに注目せよ

もちろん、中国共産党の支配体制が未来永劫不変だと言うつもりはない。しかしなんらかの変革が起きるとしても、それは約30年間にわたり続いてきたこれまでの政治改革の流れとは全く違う、新たな文脈から生み出されることになるだろう。

今はまだ、新たな流れは見えない。だが予測することはできる。従来の政治改革とは元をたどれば共産党による改革政策であり、知識人の運動であった。いわば上からの改革だ。

新たな流れは下から生まれてくるだろう。一党独裁体制はあくまで少数の利益を代弁するもので、多数の利害を調停することは難しい。公害や防災など広範な人々が直面する問題に現体制が対応し切れなくなったとき、民主主義という調停システムが必要とされるはずだ。

<本誌2017年7月25日号「特集:劉暁波死去」から転載>


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[2017.7.25号掲載]
高口康太(ジャーナリスト)


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