トランプ政治集会の中で聞いた、「優しい」支持者たちの本音
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月24日 6時33分
あとどれくらいで集会会場に入れるか分からないなか、周りの支持者にいつ取材を切り出そうかと思案していると(あまり早すぎると険悪になった場合に待ち時間が辛くなると思った)、後ろに並んでいたヒスパニック系の女性に「どこのメディアなの?」と笑顔で話しかけられた。メモとペンを片手に持ち、赤いトランプ帽ではなく(熱中症予防に買った)「ARIZONA」と書かれた黒いキャップをかぶっているアジア人は、列の中ではかなり浮いた存在だ。
バレてしまった、と思いつつ、「リベラリズムは心の病気だ!」と書かれたプラカードを持った少年が通り過ぎるのを待ってから、話しかけてきたセリア・ゴンザレス(51)に所属を明かして取材を始めた。周りのトランプ支持者たちは、「ニューズウィーク」と言うと一様に顔をひきつらせるが、「日本語で発売している日本版だ」と付け加えるとかなり和む。
トランプの熱狂的な支持者だというゴンザレスは、フェニックスから東に車で30分ほどの都市メサから来ていた。セラピストであり、6歳のときにメキシコから来た移民だという。
ヒスパニックがトランプを支持する――これは、2016年の大統領選で想定外の「サプライズ」の1つだった。
アリゾナ州は1952年以降の大統領選で、96年にビル・クリントンが勝利した以外は共和党が赤に染めてきた"レッドステート"だ。それでも、ヒスパニックの人口が州の約31%を占めるなか、メキシコからの移民を「犯罪者」や「レイプ魔」と呼ぶトランプは苦戦するのではないか。そんな事前の予想を覆し、トランプは約49%の得票率で勝利し(ヒラリー・クリントンは約45%)、ピュー・リサーチセンターの調査では同州のヒスパニック票の28%を獲得していた(クリントンは66%)。ヒスパニックの有権者の4人に1人以上が、トランプに入れたことになる。
【参考記事】元大手銀行重役「それでも私はトランプに投票する」
「どこのメディアなの?」と笑顔で話しかけてきたセリア・ゴンザレス Satoko Kogure-Newsweek Japan
ゴンザレスにトランプを支持する理由を聞くと、「謙虚で、正直で、本心の言葉を話してくれるところ」だと言う。移民を集中的に摘発した「全米一タフな保安官」のアルパイオのことは嫌いだし、強制送還されるのはドラッグと家庭内暴力(DV)をする移民だけでいいと思う。でも......と言って、こちらに「あなたはどの神を信じているの?」と聞いてきた。
この記事に関連するニュース
-
暗殺未遂の瞬間...トランプ前大統領が奇跡的に「死を免れた瞬間」を3D映像で再現
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月19日 10時50分
-
トランプのコア支持層MAGAに亀裂?副大統領候補バンスのインド系妻が許せないと差別発言が炸裂
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月18日 18時51分
-
観光客向け「ギャングツアー」まであるロサンゼルス...地図に載らない危険な境界線はどこか
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月4日 17時30分
-
前嶋和弘・上智大学教授「日本には米国を国際社会につなぎ止める役割が期待される。世界秩序構築をリードする覚悟で」
財界オンライン / 2024年6月26日 7時0分
-
ドナルド・トランプが米国民に“大人気”なワケ【経済の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月20日 11時15分
ランキング
-
1焦点:トランプ氏演説、党のイメージ刷新努力台無し 結局いつもの悪口に
ロイター / 2024年7月19日 18時29分
-
2トランプ氏「強い米国取り戻す」 共和党大会演説 アフガン撤収は「最も恥ずべき出来事」
産経ニュース / 2024年7月19日 13時55分
-
3女児がオオカミにかまれる、自然公園の一部閉鎖 オランダ
AFPBB News / 2024年7月19日 11時35分
-
4韓国軍、再び拡声器放送=北朝鮮の汚物風船に対抗
時事通信 / 2024年7月19日 18時47分
-
5中国経済にトランプショック再び!? 「中国車の輸入阻止」綱領採択、バンス氏との強硬シナリオ 「60%の関税、本気で仕掛ける可能性」
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月19日 6時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)