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【写真特集】難民の旅の悲惨な終着点リビア

ニューズウィーク日本版 / 2017年8月30日 17時20分

<サハラ砂漠や北アフリカをくぐり抜けた難民の過酷な旅は、最後に最も危険な地中海への玄関口リビアにたどり着く>

アフリカから欧州を目指す難民の波は今も絶えない。サハラ砂漠以南や北アフリカをくぐり抜けた彼らの過酷な旅は最後に、最も危険な場所にたどり着く。地中海への玄関口リビアだ。

内政の混乱が続くリビアを支配するのは民兵組織の寄せ集め。彼らは密航業者の人身売買に加担し、移民・難民への虐待や人権侵害を行っているとされる。

首都トリポリでは密航を待つ大勢の男女や子供が隠れ家などから追い立てられ、移民・難民収容所に送り込まれていく。シッカ通りの施設では、不衛生な倉庫に男性約1500人が閉じ込められている。トイレもシャワーもなく、用を足すのは空のペットボトルかビニール袋だ。

【参考記事】モスル奪還作戦、写真で見るISISとの戦いの恐怖

4月のある夜、私はリビア沿岸警備隊の夜間巡回に同行した。司令官アブドゥルラーマン・アル・ビジャはゴムボートに乗った難民を「救助」と称して逮捕し、収容所に引き渡すのが任務だ。この夜はボート2隻を発見。銃撃戦の末に一方のボートにいた密航業者は全員殺された。

時に善と悪、善人と悪人の境界はあやふやになるものだが、その境界がリビアほど曖昧な場所はない。

Photographs by Moises Saman-Magnum Photos Tokyo


馬に乗る沿岸警備隊の司令官ビジャはかつて反体制派の戦士だった


ビジャ率いる沿岸警備隊に雇われて夜間巡回の準備をする難民

海上での銃撃戦の後に密航業者のボートに乗り移る沿岸警備隊員を赤外線カメラで捉えたもの


沿岸警備隊との銃撃戦の末に捕まった密航業者はこの後亡くなった


海岸に打ち上げられた難民の死体の写真はリビア赤新月社の調査資料


シッカ通りの収容所で食事が配られるのを待つ女性たち

トリポリ西郊ザウィヤの収容所での食事風景


コートジボワール出身の19歳のサンガレ・セコウはトリポリ周辺の不法移民取り締まりの際に腹を撃たれた


同収容所で悲惨な環境に置かれた彼らは間もなく本国に送還される

撮影:モイセス・サマン
1974年、ペルーのリマ生まれ。米カリフォルニア州立大学でコミュニケーション社会学を学ぶ。米新聞社でスタッフ・フォトグラファーとして中東などの紛争を取材し、2007年からフリーランス。世界的写真家集団マグナム・フォト会員。近著にアラブの春をテーマとした写真集『ディスコーディア』がある

[2017年7月11日号掲載]

<「Picture Power」の記事一覧はこちら>

Photographs by Moises Saman

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