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中国は北への石油を止められるか?----習近平トランプ電話会談

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月7日 16時15分

問題は、この大慶油田の原油はパラフィンを大量に含むことである。

パラフィンというのは炭化水素化合物の一種で、和名では石蝋(せきろう)と呼ばれるように、蝋燭(ろうそく)やクレヨンの材料として使われている。蝋燭もクレヨンも滑らかではあるが、液体ではなく固体だ。アモルファス(非晶質)な液体ではなく有機物質だ。

原油の中に含まれているときには「粘性(viscosity)」が非常に高いのである。

となると、パイプラインを止めてしまうと、原油の中に含まれているパラフィンが固化してパイプが詰まってしまう。それを修復させるのは困難を極め、パイプラインの原油を止める期間が長ければ長いほど修復はほとんど不可能となる。

もし金正恩政権が崩壊するなどして何らかの他の政権が誕生した場合でも、このパイプラインを通した中朝交流はできなくなるだろう。

中国がパイプラインを遮断しない理由の一つはここにある。

航空燃料輸出は2016年から禁止

しかし、パイプラインを通した輸出ではない(原油ではない)航空燃料に関しては、中国は2016年4月5日から北朝鮮への輸出を禁止している。

中華人民共和国商務部は2016年4月5日に【2016年第11号】 を発布した。その中の石油に関してのみご紹介すれば、以下のような文言がある。概略を書く。

――国連安保理決議と中華人民共和国対外貿易法に基づき、中国は北朝鮮に対する「航空ガソリン、ナフサ系航空燃料(...中略)などを含む航空燃料」の輸出を禁止する。しかし安保理は基本的人道主義に基づく民間用航空燃料の輸出に関しては除外することを認めた(引用ここまで)。

民間用の飛行なのか軍用の飛行なのかに関して、どのように区別するのかは定かではないが、一応航空燃料は禁輸になっていることは頭に入れておこう。

今回の石油禁輸制裁に中国は賛同するのか

問題は9月11日に決議される北朝鮮への全ての石油禁輸制裁案に対して、中国やロシアが賛成票を投じるのか否かである。



少なくともロシアのプーチン大統領(以下、プーチン)は「制裁や圧力によって北朝鮮の核ミサイル開発を止めることは出来ない」「北朝鮮は、自国が攻撃されず安全だと思うまでは、核・ミサイル開発をやめないだろう」という主旨のことを何度も言っている。それはあたかも、アメリカのロシア包囲網を暗示しているように筆者には映る。

9月3日から4日にかけて中国の福建省アモイで開催されたBRICS(新興五ヵ国)ビジネスフォーラムの閉幕式のスピーチで、習近平は一言も北朝鮮に関して触れなかったのに対し、プーチンが上述のようなスピーチをしたのは示唆的である。

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